【大相撲春場所】無観客の影響か…あっさり決着多発!物言いゼロ

2020年03月10日 11時30分

横綱鶴竜(右)が敗れても、無観客では座布団は舞わず

 新型コロナウイルスの影響で初の無観客開催となった大相撲春場所(大阪府立体育会館)で“珍現象”が起きている。2日目(9日)を終えて幕内、十両の関取衆で物言いが付いた取組はゼロ。土俵際でもつれる展開が少なく、あっさりと勝負がつくケースが多発しているのだ。一方、ウイルス対策で厳戒態勢が敷かれる中で発熱による休場者が発生。角界内はピリピリムードに包まれた。異例の事態が続く春場所の舞台裏をリポート――。

 春場所2日目も通常開催とは異なる場面が相次いだ。横綱白鵬(34=宮城野)と幕内大栄翔(26=追手風)の取組にかけられた懸賞は1本だけ。全体の懸賞本数が昨年春場所に比べて半減しているとはいえ、いつもなら土俵上でズラリと懸賞旗に囲まれる大横綱にとっては寂しすぎる光景だ。

 結びでは横綱鶴竜(34=陸奥)が小結北勝富士(27=八角)に敗れる番狂わせが起きた。普段なら館内に座布団が舞うところだが、観客がいなければ何も起こらない。特殊な状況が際立つシーンとなった。

 異例ずくめの場所に、白鵬は「不思議な感じですね。15日間は長い。今日より明日。明日よりあさって。一日一日経験していくしかない」と違和感を拭い切れない様子。力士たちがいかに観客からの声援をエネルギーにしているかを裏付けるような“珍現象”も起きている。

 2日目終了時点で、十両、幕内の取組で物言いがついた取組はゼロ。実際、土俵際の驚異的な粘りでもつれる展開が少なく、あっさりと決着がつくシーンが多いようにも見える。これは無観客の影響なのか、単なる偶然なのか…。もちろん、どの力士も条件は同じ。プロである以上は口が裂けても「力が出ない」とは言わないだろう。

 そんな力士たちに「普段通りにやれというほうが無理な話」(角界関係者)と同情の声も上がっている。いずれにせよ、誰もが経験したことがない超異例の状況に適応するのは簡単なことではない。力士が本来のパフォーマンスを発揮するには、まだ時間がかかることになりそうだ。

 そうした中で、土俵外で角界内に緊張が走る場面もあった。日本相撲協会は力士ら協会員に一人でも新型コロナウイルスの感染者が出た場合には途中でも打ち切る方針を示しているが、2日目に序二段の力士が発熱で休場。力士が風邪やインフルエンザで休むことは珍しくないものの、ウイルス対策で厳戒態勢を敷いている状況下だけに、関係者は確認作業に追われた。

 序二段力士は初日(8日)の夕方に40度の高熱を発症。病院でのインフルエンザ検査は陰性で、2日目の朝に体温が36・7度の平熱に下がっていたという。部屋の師匠から連絡を受けた鏡山危機管理部長(62=元関脇多賀竜)は念のために力士を隔離することを指示。経過観察のために数日間、休場することが決まった。

 2日目を終えても協会内のピリピリムードは変わらない。今後も綱渡りの状況が続くことになりそうだ。