【大相撲】春場所 「無観客」「中止」しか選択肢がない!?

2020年02月27日 16時40分

朝乃山(右)は不安を抱えたまま稽古を積んでいる

 大相撲春場所(3月8日初日、大阪府立体育会館)の「通常開催」が極めて厳しい状況となった。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、政府が今後2週間は大規模イベントの自粛を求める方針を決めたことで、事実上「無観客」か「中止」しか選択肢はなくなった。日本相撲協会は3月1日に開催方法を最終判断する予定。力士たちは不安を口にするなど、動揺が広がっている。

 日本相撲協会は春場所の開催方法について「通常開催」「無観客」「中止」のいずれかとする方針で、3月1日に臨時理事会を開いて最終結論を出すことになっている。そんな中、政府は今後2週間は大規模イベントの中止や延期、規模縮小を主催者に求めることを決定。相撲協会にもスポーツ庁からスポーツイベントの中止、延期、規模縮小を要請する文書が届いた。大相撲の場合、会場の確保や巡業日程の都合で延期は難しく、残された選択肢は無観客か中止しかなくなった。

 力士たちの間にも波紋が広がっている。特に大きいのは、無観客となった場合の不安だ。大関取りに挑む関脇朝乃山(25=高砂)は「声援がないと寂しい。力士は声援があるから頑張れる」。先場所11勝の幕内豊山(26=時津風)も「(会場内が)ガランとしていたら、気持ちが入らない。僕らは(観客席が)ワーッとなるだけで、少なからずモチベーションになる」と複雑な思いを口にした。

 無観客での開催となれば、戦後初の異常事態となる。協会理事の尾車親方(62=元大関琴風)も「力士は同じ条件で相撲を取るから文句は言えないけど、やりづらいのでは。(客席から)声もかからないし、拍手もこない」と相撲内容に及ぼす影響を心配する。比較的観客が少ない幕下以下の力士はともかく、大入り満員の中で相撲を取ることに慣れた幕内力士にとって、観客の有無は決して無視できない要素だ。

 かといって、中止にした場合には協会の経済的損失とは別の懸念材料もある。親方の一人は「場所を中止にすれば、全員が休場するのと同じこと。力士は1場所休場しただけでも相撲を取ることが不安になる」と力士への影響を指摘した。中でも、大関昇進がかかる朝乃山の場合は直近の2場所連続で10勝以上をマーク。春場所の中止で相撲勘が鈍り、これまでの勢いがそがれてしまう可能性もあるのだ。

 いずれにせよ、コロナウイルスの感染拡大で角界が一層、厳しい状況に追い込まれたことは確か。相撲協会は恒例行事だった大阪・住吉大社での横綱奉納土俵入り(29日)と、春場所前夜祭(3月3日)の中止を正式に発表。初日前日に15日間の安全を祈願する土俵祭(同7日)の一般公開も取りやめ、横綱以下三役以上の力士も出席しないことになった。

 果たして最終的に春場所本番は無観客と中止のどちらになるのか。ファンのみならず、力士たちも動向を注視している。