前売り券すべて完売の大相撲にも無観客“圧力”

2020年02月25日 14時53分

昨年は満員御礼が続いた春場所だが、今年もこんな光景は見られるのか

 大相撲春場所(3月8日初日、大阪府立体育会館)の開催をめぐって、角界が揺れている。日本国内で新型コロナウイルスの感染が拡大し、各地でイベントの中止が相次ぐ中、日本相撲協会は現時点で開催を前提とした準備をしながらも、無観客にする可能性も浮上。今場所最大の注目、関脇朝乃山(25=高砂)の大関取りを含め、現場への影響はどうなるのか。角界を取り巻く環境に迫った。

 猛威を振るう新型コロナウイルスは、いよいよ日本相撲協会にとっても“対岸の火事”ではなくなってきた。高島春場所担当部長(62=元関脇高望山)は本場所開催に向け「いろいろと対応するために検討中です」とコメント。公式ホームページでは来場者に向けて、うがい、手洗いの励行やマスク着用などを呼び掛け、力士の正面玄関からの場所入りなど、観客と交わる動線の再考も始まっている。

 そんな中、協会には「本当に開催するのか?」との問い合わせが殺到。中には「何で春場所をやるんだ!」「息子が(会場の最寄り駅がある)御堂筋線に毎日乗るから、やめてくれ」といった“苦情”も含まれているという。今のご時世では、多数の人間が集まる室内でのイベントは通常開催できない、という考え方が大勢を占める。観客同士の距離が近い大相撲では感染のリスクが高い。国内女子ゴルフの開幕戦のように、無観客での開催という話も一部からは聞こえ始めている。

 もちろん、相撲協会も決して対策を講じていないわけではない。実際、場所前に予定していた特典付きチケット購入者と力士との記念撮影会を中止にした。一部の部屋では、後援者らが訪れる千秋楽パーティーの取りやめを決めているところもある。春場所担当の親方の一人は「朝からニュースを(テレビなどに)かじりついて見ている。毎日、感染者が増えているので心配」と表情を曇らせた。

 すでに、28日に一般公開で行われる予定だった二所ノ関一門による連合稽古が中止に。3月1日のイベント「うめきた場所」も中止されている。前出の協会ホームページでは観客へのお願いのほか、「発熱や体調が優れないお客様は、ご入場をお断りさせて頂く場合があります」とも告知。入り口で体温測定を行う可能性も示唆しており、感染防止態勢を敷いている。

 地方場所は大阪の春場所を始め、名古屋場所、九州場所も年に1回だけの開催。地元ファンは場所観戦はもちろん、力士とのふれあいも楽しみにしているだけに、無観客興行となればショックは大きい。

 春場所の観客の収容人数は約7200人で、すでに前売り券は完売。通常開催なら入場料収入を確保できるが、批判を受けるのは必至だ。相撲協会は近日中に開催方法を最終的に判断する方針。通常開催か、無観客での開催か。それとも、春場所自体の中止に踏み切るのか…。どのような選択をするにしても、極めて難しい判断を迫られることになりそうだ。