【大相撲初場所】関取最小兵の炎鵬 奮闘の裏に大横綱の一喝

2020年01月20日 11時30分

遠藤を押し出した炎鵬は勢いあまって土俵から飛び下りた。右は藤島親方

 大相撲初場所(東京・両国国技館)で、話題の幕内炎鵬(25=宮城野)が奮闘中だ。身長168センチ、体重99キロで関取最小兵ながら、多彩な技で巨体の相手を翻弄。その甘いマスクも手伝って、ファンの心をワシづかみにしている。今場所は白鵬(34=宮城野)と鶴竜(34=陸奥)の両横綱が休場する中、炎鵬と上位陣との対戦は“目玉カード”になっており、大横綱の存在を発奮材料に後半戦の土俵を盛り上げる。

 168センチ、99キロはいずれも関取の中では最も小さいサイズ。その体格で大男を相手に奮闘しているのが炎鵬だ。

 同部屋の白鵬がスカウトして2017年に角界入り。「ひねり王子」の異名を持つ多彩な技と、端正な顔立ちで瞬く間に人気力士となった。今では大手デパートが広告モデルに起用し、テレビのバラエティー番組にも相次いで出演。本場所では横綱大関に匹敵する声援を受けているほどだ。

 初場所8日目(19日)には幕内遠藤(29=追手風)との人気者対決が実現。動き回りながら相手の腕をたぐり、最後は押し出して星を4勝4敗の五分に戻した。同じ石川県出身で中学と高校の先輩にあたる遠藤は「雲の上の存在」。常に背中を追い続けてきた相手をプロ初対戦で撃破し「信じられないです」と夢心地の様子だった。

 白鵬の存在が大きな発奮材料だ。「小さな体でも心を熱く燃やして相手に向かっていけ!」との意味を込めて、横綱自らしこ名を命名。炎鵬の取組は欠かさずチェックし「負けたら(部屋に)帰ってくるな!!」と厳しい言葉でハッパをかけたこともある。

 今場所の白鵬は2日目に遠藤に切り返しであおむけに倒されて腰を負傷。4日目から途中休場した。それ以降、横綱とは顔を合わせていない。炎鵬は「(今の成績で)会ったら、怒られるでしょうね。会いたくない」と苦笑いを浮かべた。それでも、炎鵬が遠藤を破って“敵討ち”を果たした一番は、大横綱も高く評価してくれるに違いない。

 横綱不在の中、炎鵬と上位陣との顔合わせは今場所の大きな目玉の一つとなっている。今後も続く難敵との対戦へ向けて、小さな侍は「勝ち負けにこだわらず、自分の相撲を徹底したい。毎日チャレンジャーの気持ちで思い切りぶつかるだけ」と表情を引き締めた。後半戦もさらなる注目を集めそうだ。