ドロ沼化の様相だ。大相撲の千賀ノ浦親方(58=元小結隆三杉)が7日、東京・台東区の部屋で取材に応じ、弟子の十両貴ノ富士(22)の現状を明かした。

 貴ノ富士は昨年3月の春場所中に付け人へ暴力を振るい、日本相撲協会から出場停止1場所の懲戒処分を受けた。今年9月の秋場所前には付け人に対する2度目の暴力行為が発覚。同26日の理事会で自主引退を促され、当面は部屋での謹慎を言い渡された。

 しかし、貴ノ富士は翌27日に師匠の反対を押し切る形で記者会見を強行。代理人の弁護士同席で協会の措置が不当であることを訴えた。この日から貴ノ富士は部屋に戻らず、師匠の携帯電話にショートメールで弁護士に対応を任せる旨を伝えてきたという。その後は連絡がつかない状態が続いているが、師匠も手をこまねいていたわけではない。

 千賀ノ浦親方は「貴ノ富士は最近借りたマンションにいる。(住んでいるのは)1人じゃないみたい。知っている人間から場所を教えてもらって何回かマンションに行ったんだけど…。全く応答がない」と説明。すでに師匠の管理下から外れると同時に“支援者”と見られる同居人の存在も示唆した。その上で「私の弟子ですから、顔ぐらい合わせて話をしたい。いろいろと心配」と目に涙を浮かべながら訴えた。

 この日までに貴ノ富士の代理人弁護士は本人の意向を11日までに相撲協会へ文書で回答することを通知。ただ、貴ノ富士が素直に自主引退を選択することは考えづらい。協会側は貴ノ富士からの回答が届き次第、対応を検討するとしている。協会が「引退勧告」や「懲戒解雇」などの厳罰を下すにしても、来週以降になる可能性が高い。そして、貴ノ富士側の「次の一手」は…。騒動の着地点は見えないままだ。