“日本人初V”だ。大相撲の「第78回全日本力士選士権大会」が30日、東京・両国国技館で開かれた。幕内力士によるトーナメントの決勝では横綱白鵬(34=宮城野)が幕内北勝富士(27=八角)を寄り切って12年ぶり2度目の優勝を果たした。9月3日の日本国籍取得後に臨んだ秋場所は右手小指の骨折で途中休場。日本人で“初タイトル”を獲得し「いいものだね」と笑みを浮かべた。

 ラグビーW杯1次リーグで日本が優勝候補のアイルランドを撃破したことにも刺激を受けた。白鵬とラグビーには、浅からぬ縁がある。日本代表のリーチ・マイケル主将(30=東芝)とは以前から親交があり、白鵬の個人トレーナーを務める大庭智成氏が同代表の松島幸太朗(26=サントリー)をサポートしているつながりもある。その大横綱は、日本代表の歴史的快挙に「試合の次の日に(テレビの)ニュースで見ました。結果は分かっていたけど、見ていて感動した。知っている選手がいると、力が入るね。(小学生の)長男(真羽人くん)と長女(愛美羽ちゃん)も、ラグビーをやっていますから」と興奮が冷めやらぬ様子だった。

 この日の大会前には自らスカウトした幕内炎鵬(24)と幕内石浦(29)を従えて初めて東京・明治神宮で横綱土俵入りを行った。「こうして(3人で)揃ったのはうれしい」。九州場所(11月10日初日、福岡国際センター)での完全復活へ向けて弾みをつけた格好だ。