復活Vの原動力は? 大相撲名古屋場所で7場所ぶり6度目の優勝を果たした横綱鶴竜(33=井筒)が22日、名古屋市内で会見し「すごくいい気分で目が覚めました。名古屋のファンの人たちには、なかなかいい報告ができなかった。今年はそれができてうれしかった」と笑顔を見せた。場所が始まる1週間ほど前には持病の腰痛を発症。「その時は、もう優勝なんて考えられなかった」と振り返る。

 同時に脳裏には「最悪のシナリオ」も浮かんだという。ムンフザヤ夫人と2人の子供たちはモンゴルへ帰省中。鶴竜も場所後に帰国して家族と合流する計画だった。しかし、休場した力士は場所後も日本国内にとどまり、治療に専念するのが通例。「これはもしかして、モンゴルに行けないんじゃないか。休場だったら計画もパーじゃないのか…」。そう考えると目の前が真っ暗になった。

 相撲も取らずに治療に専念して、何とかぶっつけ本番で出場にこぎつけた。フタを開ければ、尻上がりに調子を取り戻して復活優勝。「5日目までは油断できない感じだった。相撲が終わって帰ってから治療して。痛み止めも飲んでいた。6日目から『もう大丈夫かな』という感じになった。いつも以上に集中して、腰に負担をかけないように取ろうとしたのが良かった」と舞台裏を明かした。

 鶴竜は「親戚の人たちとか、子供たちに会ってゆっくりしたいな」。うれしそうに話すと、会見後に母国へと旅立った。