大相撲夏場所11日目(22日、東京・両国国技館)は上位陣が“総崩れ”する異常事態となった。1敗で優勝争いの先頭を走る横綱鶴竜(33=井筒)は幕内妙義龍(32=境川)に押し出されて金星を配給。安易に引いてしまう悪癖で完敗を喫し「引いたらダメ。ああいう悪い癖が出ちゃったらしようがない」と険しい表情を浮かべた。

 1敗で並んでいた関脇栃ノ心(31=春日野)も幕内阿炎(25=錣山)のはたき込みに屈して2敗目。1場所で大関に復帰できる10勝到達も足踏みとなり「踏み込みは良かったけど…。いきすぎた」と悔しがった。この日の上位陣は“負の連鎖”が続いた。3敗の高安(29=田子ノ浦)と豪栄道(33=境川)の大関陣も格下に不覚を取った。

 トップと2差をキープしていれば優勝争いに踏みとどまることができたが「圏外」へと消え去った。V争いは幕内朝乃山(25=高砂)が単独トップに立つ展開。尾車親方(62=元大関琴風)は「優勝(ライン)は3敗ぐらいまで下がる可能性がある」と予測した。朝乃山の健闘が光るとはいえ、それ以上に目立つのが上位陣のふがいなさ。

 千秋楽(26日)にはドナルド・トランプ米大統領(72)が安倍晋三首相(64)とともに来場する予定。優勝力士には「米国大統領杯」も授与される。令和の新元号で迎える最初の国賓の目の前で最高峰の戦いを見せられなければ、日本相撲協会のメンツにもかかわる。千秋楽の館内に座布団が舞わないことを祈るばかりだ。