貴景勝は稀勢の里の後継者になれるか

2019年03月11日 16時30分

貴景勝(左)は鋭い出足から妙義龍を押し出した

 大相撲春場所初日(10日、大阪府立体育会館)、大関取りに挑む関脇貴景勝(22=千賀ノ浦)が幕内妙義龍(32=境川)を一気に押し出して完勝。大関昇進の条件となる「10勝以上」に向けて好発進した。一方、この日は元横綱稀勢の里の荒磯親方(32)が初めて場内警備を担当し、親方として“本場所デビュー”を果たした。ファンから握手攻めにあうなど人気は健在。貴景勝には元和製横綱に代わる看板力士としての期待もかかる。

 幸先のいいスタートを切った貴景勝は取組後に「自分が持っているものを出し切ろうと思った。まわしを取られたら相撲は取れない。(突き押しを)徹底しようと思った」と会心の相撲を振り返った。兵庫・芦屋市出身で、ご当所力士として挑む大関取り。貴景勝が土俵に上がると館内のファンからは、ひと際大きな声援が送られた。

 懸賞の本数は結びの白鵬―北勝富士戦に並んで最多となる27本。他の1横綱3大関の取組を上回り、注目度は“横綱級”だ。貴景勝も「応援してもらってナンボの世界。力になります。昨年の春場所以上の応援? それはメッチャ、感じますね。ガッカリさせたくない」と期待の大きさを肌で感じ取っている。角界もニューヒーローの誕生を熱望している。

 日本相撲協会の芝田山広報部長(56=元横綱大乃国)は「貴景勝には期待している。協会全体としても、新星が出てきてくれれば」と話す。近年の相撲人気を支えてきた横綱稀勢の里が1月場所で現役を引退。元和製横綱の人気はいまだに健在で、伸び盛りの若手力士たちもまだまだかなわない感がある。

 この日の荒磯親方は幕内後半戦から西の花道の警備を担当。ファンからの握手攻めにあい、スマホを近づけて撮影しようとした客を別の警備員が制止する一幕も見られた。会場1階では「引退記念はがきセット」を販売。荒磯親方が直筆でサインと「応援ありがとうございました」と感謝の言葉を書き入れた現役時代の等身大パネルと同親方へのメッセージボードが設置され、瞬く間にファンによる書き込みで埋め尽くされた。

 果たして、貴景勝は稀勢の里の“後継者”になることができるのか。22歳の若武者は「今日は終わったので。2日目のことを考えて、また気持ちを入れる。その繰り返しでやっていきたい」と表情を引き締めた。残り14日間の戦いに注目が集まる。