【大相撲春場所】貴景勝 大関取りへ甘くない道のり

2019年03月05日 16時30分

ぶつかり稽古でも高安の胸を借りた貴景勝(下)

 ニューヒーローの行方は――。大相撲春場所(10日初日、大阪府立体育会館)を控えた4日、大関取りに挑む関脇貴景勝(22=千賀ノ浦)が大阪・大東市の湊部屋で行われた二所ノ関一門の連合稽古に参加。大関高安(29=田子ノ浦)との三番稽古では立ち合いから互角に渡り合う内容で強さを見せつけた。果たして、今場所後に新たな和製大関の誕生はあるのか。ひと足早く、本紙が成否を占った。

 大関候補の貴景勝が一門の連合稽古で存在感を示した。関取衆との申し合いでは、1月の初場所で初優勝した関脇玉鷲(34=片男波)らと11番(6勝5敗)。その後に高安との三番稽古で12番(5勝7敗)を取り、関取衆最多となる合計23番をこなした。稽古後の貴景勝は「良くも悪くもない。稽古場と本場所は全然違う。稽古を重ねていくことが大事」と冷静に振り返った。

 高安との稽古では立ち合いから激しく突き合うなど互角の力を発揮。大関を力強く押し出す相撲もあった。一方で、格下なら前に出て一気に押し切れる展開から高安に残される場面も。まわしを取られると何もできず、寄り切られて完敗を喫した。貴景勝は「自分は組んだら相撲は取れない。徹底して突いて、まわしを取られないようにしたい」と自らの課題を挙げた。

 審判部が提示している大関昇進のノルマは今場所で「10勝以上」。2場所前に13勝で優勝、先場所で11勝している貴景勝なら、難しくないハードルにも見える。しかし、実際には決して簡単ではない。本場所15日間のうち格上の横綱大関との対戦は3分の1にあたる5日間もある。まずは、同格以下との対戦で取りこぼさないことが最低条件となる。

 さらに、今場所は復活を目指す白鵬(33=宮城野)と鶴竜(33=井筒)の両横綱が出場に強い意欲を示している。この日の高安との稽古で見せたように、格上との対戦では展開次第で勝敗が左右される点は否めない。先場所の千秋楽は「100点満点の精神状態」(貴景勝)で臨んだにもかかわらず、大関豪栄道(32=境川)に立ち合い負けして惨敗を喫した。

 二所ノ関一門の重鎮の尾車親方(61=元大関琴風)は貴景勝の大関取りについて「それなりの星は残すと思う。楽しみ」と期待する一方で「10勝以上? なかなか続けてというのは難しい」とも指摘した。もちろん、貴景勝自身も「甘くない」と話すように、大関への道のりが簡単ではないことは自覚している。注目を集める春場所へ向けて「気合を入れていきたい。変な相撲は取れない」と気持ちを引き締めた。

 1月には絶大な人気を誇った横綱稀勢の里(荒磯親方=32)が引退。待ち受ける“壁”を突破し角界全体、さらには相撲ファンが待望するニューヒーローは生まれるのか。今後に注目だ。