日本相撲協会は31日、鳴戸部屋所属の三段目力士A(20)が未成年の弟弟子Bに対して暴力を含むいじめを繰り返していたことを発表した。Aは昨年9月から「仕事の失敗の罰」という名目でBに対して柔道の絞め技をかけて失神させようとする行為を繰り返した。同12月からは別の弟弟子に命じて絞め技をかけさせるようになり、実際にBが失神したこともあった。

 こうした暴力は昨年9月から今年1月までの期間に合計10回程度に及んだ。いじめに耐えかねたBは1月中旬、部屋の関係者を通じて師匠の鳴戸親方(35=元大関琴欧洲)に報告。師匠がAに問いただしたところ、本人は事実を大筋で認めた。鳴戸親方は協会のコンプライアンス委員会に暴力があったことを報告し、Aには1月場所の出場を自粛させた。

 B本人と保護者は警察へ被害届を出す意思はないという。協会は今後、コンプライアンス委員会からの最終報告を受けて2月8日に臨時理事会を開き、Aらの行為と鳴戸親方の監督責任に対する処分を決定する。協会は元横綱日馬富士の傷害事件を契機に、昨年12月に暴力禁止規定とコンプライアンス委員会を新設。今回は新制度が適用される最初のケースとなる。

 協会の芝田山広報部長(56=元横綱大乃国)は「こういうことがないように指導していかなければいけない」と話した。