大相撲の横綱審議委員会の定例会合が28日、東京・両国国技館で開かれた。北村正任委員長(77=毎日新聞社名誉顧問、写真)は初場所で現役を引退した元横綱稀勢の里(32=荒磯親方)について「非常に残念。日本人横綱として頑張ってほしかったが、やむを得ない。真面目に相撲に取り組んだ。ケガをしてからもファンのために頑張った立派な横綱だった」とねぎらった。

 横審は昨年11月の九州場所後の会合で、稀勢の里に対して史上初となる「激励」を決議。これが結果的に今回の引退につながる流れをつくったとの見方もあるものの、北村委員長は「横審が何か言ったから(引退につながった)と言う人もいるけど、そうではない」と反論。「基本的には横綱が自分で判断して引退したということ。(その判断は)良かった」と主張した。

 一方、初場所では白鵬(33=宮城野)と鶴竜(33=井筒)の両横綱が途中休場し、2場所連続で横綱不在の事態となった。北村委員長は「白鵬も鶴竜も(休場する)前日まではキチッと相撲を取っていて外からは大ケガをしたように見えない。(横審委員から)不満というか、変じゃないかという意見があった。(横綱不在は)非常に遺憾なこと」と苦言を呈した。

 北村委員長は初場所を最後に任期満了で退任。今後は矢野弘典氏(78=産業雇用安定センター会長)が新委員長に就任する。矢野新委員長は「横綱は相撲界の象徴。土俵外でも言動に心を配ってほしい」と話した。