「世代交代」が加速するのか。大相撲九州場所10日目(20日、福岡国際センター)、小結貴景勝(22=千賀ノ浦)が幕内北勝富士(26=八角)を一方的に押し出して優勝争いの単独トップ(1敗)を守った。取組後は「積極的にいこうと思った。(残りの5日間は)後悔しないようにやりたい」と表情を引き締めた。その貴景勝を1差で追いかけるのが幕内阿武咲(22=阿武松)だ。

 この日は幕内千代翔馬(27=九重)を一気に寄り切って2敗をキープした。貴景勝とは同学年で小学生時代から競い合ってきた間柄。阿武咲はライバルの快進撃に「いい刺激を受けている。負けていられない」と闘志を燃やした。日本相撲協会の八角理事長(55=元横綱北勝海)は、ここまで互いに賜杯を争う“22歳コンビ”を高く評価。「2人に言えるのは“強い”ということ。うまさで要領よく勝っているのではなく、力で勝っている」と目を細めた。今場所は3横綱が休場で不在。大関陣も格下に星を取りこぼす状況の中、若手の活躍は際立って見える。同じく横綱全員が休場した7月場所は関脇御嶽海(25=出羽海)が初優勝。最後まで賜杯を争ったのは同世代の幕内豊山(25=時津風)だった。最終的に優勝できるかどうかは別にして、20代の若手力士にとっては終盤戦までV争いをする経験は大きな自信となるに違いない。

 3横綱の中でも、1年半以上にわたって賜杯から遠ざかる稀勢の里(32=田子ノ浦)は崖っ縁の立場。進退がかかる来場所以降の復活を目指す上で、新世代の台頭は大きな脅威となりそうだ。