昨年1年間で暴力受けた力士は50人 調査中に出た「どこまで話せば」戸惑いの声

2018年10月20日 16時30分

 角界は体質改善できるのか。日本相撲協会の第三者機関、暴力問題再発防止検討委員会は19日、現役力士や親方ら約900人の協会員から聞き取り調査した暴力行為の実態や再発防止策の最終的な報告書を協会に提出し、内容を公表した。

 昨年10月の元横綱日馬富士による幕内貴ノ岩(28=現千賀ノ浦)への傷害事件の検証では横綱白鵬(宮城野)ら現場に同席した力士たちに、指導のための暴力が許されるとの意識があったとした。また、外国出身力士による不祥事の割合が高いとし、礼儀作法、品格などの体得より稽古が優先されたためと分析した。

 角界の暴力行為は2007年に発生した時津風部屋の力士暴行死事件以降、年々減少傾向にあるものの、昨年1年間で暴力を受けた人の割合は5・2%と約50人が暴力を受けた計算。暴力を振るった人の割合は8・0%で約70人となった。

 しかし、今回の結果はあくまで“ミニマム”と考えられる。調査期間中、力士からは「あったことをどこまで話せばいいのか分からない」と戸惑いの声が出ており、調査が正確とは言い難い部分もある。いずれにしても、これまでの反省は生かされず、角界に暴力が根強く存在する実態が浮き彫りになったと言える。

 また、同委員会は再発防止策として研修の強化、重大な暴力問題が発生した場合は師匠や年寄の資格停止や剥奪、通報窓口の整備などを提言。但木敬一委員長(元検事総長)は「暴力問題を根絶しなければ新弟子のスカウトも非常に苦労せざるを得ない。提言で終わってしまってはいけない」と改善を求めた。

 日本相撲協会の八角理事長(55=元横綱北勝海)は「今後も外部の有識者の意見を取り入れながら暴力の根絶に全力で取り組みます」と談話を出したが、暴力根絶の実現は時間がかかりそうだ。