日本相撲協会を退職した貴乃花親方(46=元横綱)の元弟子で千賀ノ浦部屋へ移った幕内貴ノ岩(28)の代理人弁護士が4日、都内で会見し、昨秋に起きた元横綱日馬富士(34)による暴行事件について東京地方裁判所に損害賠償を求めて民事訴訟を提起したことを発表した。

 これまで話し合いでの解決を求めて協議を続けてきたが、示談が成立せず、東京簡易裁判所に民事調停の申し立てをして調停委員会のあっせんによる解決を図ろうとしたという。しかし、第2回の調停期日の9月26日に日馬富士の代理人が欠席すると通知したため、調停は不調で終了。話し合いによる解決が不可能と判断し提訴した。

 訴訟の請求金額は総額が2413万5256円。内訳は入院治療費が435万9302円、逸失利益として給与差額(148万1840円)、懸賞金の逸失(900万円)、巡業手当の逸失(38万円)、退職時の幕内養老金等の減(172万円)。さらに慰謝料500万円、弁護士費用219万4114円となっている。

 貴ノ岩代理人の佐藤歳二弁護士は、日馬富士サイドが示談金として当初提示したのが「30万円程度だった」と明かす。しかし「プロの選手がけがで活動できなかった」ことによる逸失利益も請求し80倍の差額が生じることとなった。

 また、今回の訴訟について佐藤弁護士は「利益が相反する可能性もある」ために貴乃花親方が無関係だと強調。貴乃花親方、貴ノ岩ともにコメントを発表することはなかった。