平成の大横綱の「第2の人生」はうまくいくのか。日本相撲協会を退職する意向を表明した貴乃花親方(46=元横綱)は27日に提出した弟子の「所属先変更届」がまたも書類上の不備で協会に受理されない失態となったが、28日に再提出されることはなかった。部屋の前で取材に応じた貴乃花親方は「今、準備している」と話すにとどめた。

 そんな貴乃花親方が今後、取り組んでいくと思われる「少年相撲の指導」は意外な方向に進む可能性も指摘されている。貴乃花親方に近い関係者は「親方のことだから、子供に相撲を教えるとなったら、とことんやると思う。今の貴乃花部屋で、なんて言ってるけど、日本中でやるつもりなんじゃないかな」と全国展開を予測。その際に参考としそうなのが、サッカーロシアW杯に出場したFW本田圭佑(32=メルボルン・ビクトリー)が手がけるビジネス手法だ。

 本田は2012年5月に子供たちを対象にしたサッカースクール「ソルティーロ」を設立。設立当初からオフを利用して積極的にスクールに出向き、生徒にはもちろん、スクールで教えるスタッフにも“本田メソッド”を注入してきた。コーチから現場の声を聞きながら意見交換も重ねて指導カリキュラムを作成。保護者や生徒からの信頼を着実に得ていった。

 もともと貴乃花親方はサッカー界のファン獲得方式に着目していたほどで、欧州サッカーで取り入れられている「ソシオ」に類似した「サポーター制度」を自らの部屋の後援会に導入。サッカー界の育成システムにも興味を持っており、個人で成功を収めている本田の手法には一目置いているという話もある。

 本家の「貴乃花部屋」は消滅するが、地方では貴乃花親方の信念に共感する後援者は多く、全国で新たな「相撲スクール」を展開できる下地はある。旧態依然の相撲界の育成システムに風穴を開けられるか。