【大相撲秋場所】引退危機脱出の稀勢の里「残り5日」が持つ意味

2018年09月19日 11時30分

取組後、手つき不十分で審判部から注意を受けた稀勢の里と遠藤(奥)

 まずはピンチを脱出したが…。大相撲秋場所10日目(18日、東京・両国国技館)、8場所連続休場から復活を目指す横綱稀勢の里(32=田子ノ浦)が幕内遠藤(27=追手風)を退けて8勝目。立ち合いが3度合わずに不穏な空気が漂う中、動じることなく一方的に寄り切った。取組後は「(立ち合いは)集中して。しっかり取ろうと思っていた」と落ち着いた様子で振り返った。

 稀勢の里が勝ち越すのは新横綱で優勝した昨年3月場所以来、9場所ぶりだ。日本相撲協会の八角理事長(55=元横綱北勝海)は「横綱といえども、休場明けだから勝ち越しはホッとする。終盤戦に臨む気持ち? 全然違うだろう」と胸中を代弁。全勝の横綱白鵬(33=宮城野)、横綱鶴竜(33=井筒)を2差で追う展開に「優勝争いは(横綱の)務め。よくやっている」と評価した。

 横綱としては許されない負け越しを回避したことで、ひとまず今場所の引退危機は脱した格好。ただ、15日間を皆勤した上で8勝や9勝止まりに終われば、来場所以降も進退問題がくすぶり続ける可能性はある。実際、多くの横綱が2桁10勝を勝てなくなったことを境に引退していく道をたどっている。その意味でも、残り5日間は重要な意味を持つ。

 審判部副部長の藤島親方(46=元大関武双山)は「(横綱である以上は)勝ち越せばいいというわけではない。勝ち負けは別として(終盤戦で)稀勢の里らしい相撲が取れるかどうか」とズバリと注文をつけた。今場所の相撲内容を見る限り、まだ「完全復活」と言い切れないことは確か。可能性を残す優勝争いを含めて、和製横綱の終盤戦の戦いに注目が集まる。