大相撲秋場所2日目(10日、東京・両国国技館)、横綱稀勢の里(32=田子ノ浦)が小結貴景勝(22=貴乃花)を退けて連勝発進した。立ち合いは貴景勝のもろ手突きで土俵際まで後退。相手の引きに泳がされ、左ノド輪に大きくのけぞった。右足が徳俵にかかる窮地を必死の形相でしのぐと、右からの突き落としで逆転勝ちした。

 幕内通算706勝目を挙げて武蔵丸と並ぶ歴代7位に浮上。取組後は「集中してやりました。体が動いている? うん。(3日目以降も)しっかり集中してやります」と表情を引き締めた。

 昨年3月場所で左胸と左上腕を負傷して以降、初日から2連勝は初めて。自ら進退をかけて臨む場所で好スタートを切った格好だが、この日は防戦一方の苦しい展開からの辛勝だった。

 日本相撲協会の八角理事長(55=元横綱北勝海)は「よく残った。休場して場所が始まる前は『やれるかな』という不安ばかり。こういう相撲で勝つと自信が出てくる」と話す一方で「まだ始まったばかり。余裕はない。必死にやらなければ勝てない」と指摘した。ここまで8場所連続で休場し、最近3場所は全休。失われた相撲勘や自信など、長期休場によるブランクを取り戻すことは簡単ではない。

 審判部長の阿武松親方(57=元関脇益荒雄)も「(場所が)終わるまでは楽ではない。こうやって一番ずつ白星をもぎとっていくしかない」と3日目以降の見通しを語った。本場所は15日間の長丁場。今後も“綱渡り”の日々が続くことになりそうだ。