栃ノ心に凱旋帰国プラン 母国にリアル土俵つくる

2018年05月30日 16時30分

栃ノ心は師匠の春日野親方(右)とがっちり握手

「相撲伝道師」になる。大相撲夏場所千秋楽から一夜明けた28日、大関昇進を確実にしている関脇栃ノ心(30=春日野)が東京・墨田区の部屋で会見。「力強い相撲を取りたい」と早くも大関としての抱負を語った。30日の臨時理事会での承認を経て正式に「大関栃ノ心」が誕生する。“相撲後進国”だった母国のジョージアでは、相撲熱が急速に拡大。看板力士となる今後は母国での普及活動にも力を注いでいく構えだ。

 夏場所で大関昇進を決めた栃ノ心は会見に晴れやかな表情で臨んだ。30歳7か月は1958年の年6場所制以降では4位の高齢記録。新入幕から所要60場所は史上1位タイのスロー昇進となる。栃ノ心は「自分の中ではもう少し早くなれると思っていましたけど、30歳超えて番付が大関に上がるのはうれしい。稽古に精進して力強い相撲を取りたい」と意気込んだ。

 母国のジョージアは“相撲後進国”だった。栃ノ心は柔道やサンボなどの格闘技経験が豊富ながら、相撲に関しては素人同然で入門。師匠の春日野親方(56=元関脇栃乃和歌)は「同時期で入った5人ぐらいの中では強いほうじゃなかった。全く相撲を知らなかった。力任せの相撲だった」と振り返る。栃ノ心は「自分の国には相撲がなくて入る前には全然知らなかった。親方から教えてもらった」と感謝の言葉を口にした。

 そんな男がついに看板力士になる日を迎える。今後は母国で相撲の普及活動にも力を入れていく。栃ノ心が1月場所で初優勝して以来、ジョージアでは相撲熱が急速に高まっているという。相撲道場への入門者が増加し、同国初の幕内力士だった元小結黒海(37)も指導に携わっている。ただ、練習で用いられているのは、もっぱら土俵を模したマット。日本では当たり前の土の土俵はない。

 栃ノ心は「向こうではマットしかないから。本物の土で土俵をつくりたい。(母国に)帰った時に、偉い人にお願いできれば」とプランを明かした。実家の近隣につくったトレーニング施設内に自身が三賞受賞で獲得したトロフィーや賞状などを展示するスペースを新設する計画もある。栃ノ心の「偉業」が母国に直接伝われば、さらに相撲人気が拡大することは間違いない。正式に大関昇進後はジョージアに凱旋帰国する予定。さっそく「相撲伝道師」としての役割を担うことになりそうだ。