大相撲夏場所3日目(15日、東京・両国国技館)、新小結の遠藤(27=追手風)が大関豪栄道(32=境川)を撃破した。立ち合いから踏み込んで相手を突き放すと、最後は肩透かしで大関に両手をつかせた。ファンの大歓声には「ありがたい。気持ち良かったです」と感謝。初日黒星から2連勝で白星先行にも「これからだと思います」と表情を引き締めた。

 幕下付け出しデビューから昭和以降で最速の3場所で新入幕を果たし、早くから「大関候補」と目された。その後は足首やヒザを相次いで負傷。慢性的なケガに苦しみ、気がつけば初土俵から31場所を要する“スロー出世”でようやく新三役までたどり着いた。角界屈指の人気力士は、ここからさらに上の地位を目指すことができるのか。

 日本相撲協会の八角理事長(54=元横綱北勝海)は「今日は立ち合いが良かったから押されなかった」と勝因を挙げる一方で「(地位を)維持していくには、もっと厳しくいかないと。いい当たりをしないと押される」と注文をつけた。かねて八角理事長は遠藤の相撲センスに一定の評価をしながらも、なかなか幕内上位に定着できない状況に物足りなさも感じていた。

「(相撲の)うまさだけでは馬力に負ける。馬力があってこそ、うまさが生きる。うまいだけでは上位では勝てない」。三役の常連になるためにはもう一段レベルを上げる必要があるとみている。

 この日の豪栄道は過去3連勝中と合口のいい相手でもあった。今後に対戦する横綱白鵬(33=宮城野)をはじめ、大関取りに挑む関脇栃ノ心(30=春日野)ら強敵を相手にどこまで食い下がれるか。