7場所連続休場の稀勢の里を待ち受ける「7月・名古屋」の悪条件

2018年05月12日 16時30分

進退のかかる名古屋場所へ向かう稀勢の里だが…

 和製横綱がついに土俵際だ。横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)が大相撲夏場所(13日初日、東京・両国国技館)を休場することが11日、決定。2場所連続の全休は自身初で、横綱で7場所連続休場は貴乃花と並ぶ最長記録(年6場所制以降)となった。ただ今回、休場したからといって、進退を懸けて臨む次の名古屋場所(7月8日初日、愛知県体育館)に万全の状態で出られる保証は全くない。復活を目指す和製横綱には「イバラの道」が待っている――。

 稀勢の里が7場所連続で休場することになった。この日、日本相撲協会に「左大胸筋痛、約1か月激しい運動を制限する」との診断書を提出。師匠の田子ノ浦親方(41=元幕内隆の鶴)は東京・江東区の部屋で報道陣に対応し「責任感が強い男。本人はなかなか自分から(休場するとは)言えない。(師匠から)後押ししてあげるしかなかった」と自ら説得したことを明かした。

 今場所前の稽古では低調な内容が続き、出場に踏み切る状態には仕上がらなかった。過去に強行出場した4場所はいずれも途中休場しているだけに、今回の判断は角界内でも「致し方なし」と受け止められている。相撲協会の八角理事長(54=元横綱北勝海)は「体調が思わしくなさそうなので、場所に出る以上は体調を万全に整えてから出場してほしい」。

 横綱審議委員会の北村正任委員長(77=毎日新聞社名誉顧問)も「休場はやむを得ない。覚悟を持って次場所に備えてほしい」と容認の姿勢を見せた。とはいえ今回、休んだからといって、次の名古屋場所に万全の状態で出場できるとは限らない。復帰を目指して調整する上で、いくつかの“悪条件”があるからだ。

 一つは、6月は地方巡業がない点だ。巡業の稽古は様々なタイプの関取と胸を合わせる格好の機会でもある。実際、稀勢の里も4月の春巡業に途中から参加。日替わりで相手を指名し、本格的な稽古を行うための下地をつくった。それが今回の休場で、これまでの稽古で積み上げた“貯金”も一度リセットされることになる。巡業の代わりに出稽古を行うにしても、6月は地方合宿で東京に不在の部屋も少なくない。思い通りに稽古できるかは不透明だ。

 もう一つは名古屋場所特有の猛暑。二所ノ関一門の重鎮の尾車親方(61=元大関琴風)は「(名古屋場所は)暑いし気候が良くない。復帰するなら国技館(東京場所)の5月か9月のほうがいい」と話す。どの力士も条件は同じとはいえ、稀勢の里は7月3日で32歳となる。休場続きの和製横綱にとって、過酷な環境下で15日間を乗り切ることは簡単ではない。

 かねて稀勢の里は次に出場する場所で進退を懸けることを明言するなか、今回の休場で先送りにした格好。いずれにせよ、復活までの道のりは険しいものとなりそうだ。