稀勢の里に強まる引退圧力

2018年05月08日 16時30分

稽古場の天井を見つめる稀勢の里

 和製横綱はいったいどうなるのか? 大相撲夏場所(13日初日、東京・両国国技館)を控えた7日、二所ノ関一門の連合稽古が東京・江東区の尾車部屋で行われた。6場所連続で休場中の横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)は幕内嘉風(36=尾車)との三番稽古に臨み、9番取って全勝。ただ、内容的には復調とは言いがたく周囲からの評価は低いままだ。本番まで1週間を切っても不安は募る一方で今後、“引退圧力”が強まる可能性も出てきた。

 一門の連合稽古に参加した稀勢の里は「(嘉風は)力いっぱいくるから、いい稽古になった。(状態は)だいぶ良くなっている。あと少しの修正」と手応えを口にした。ただ、これまでの周囲の低評価を覆すまでには至っていない。

 3日の横審稽古総見、4日の出稽古では上位陣を相手に苦戦し、相撲解説者の北の富士勝昭氏(76=元横綱)らから“酷評”されたばかり。この日も格下で本調子ではない嘉風に得意の左を封じられ、もろ差しを許す場面もあった。稽古を見守った芝田山親方(55=元横綱大乃国)は「まだ調子が出ていない。番数が少ないし、復調を見せる内容ではない。今のままの稽古では厳しい」と指摘した。

 前日6日に風邪の症状で稽古を休んだことも、大きな不安材料だ。稀勢の里は「しっかり休めたから良かった」と話したが、休場で実戦から遠ざかる中で、本番前の貴重な一日を失った意味は小さくない。

 実際、師匠の田子ノ浦親方(41=元幕内隆の鶴)は「(稽古を)いろんな人とやったほうがいい。もっとやることはある」と稽古不足に対する危機感をにじませた。現状を見る限り、今場所で復帰に踏み切るかどうかは本人のみならず判断が難しいところだ。かねて和製横綱は次に出場する場所で進退をかけることを明言。一方で「まだやれると思っている」とも話しており、現時点で本場所の土俵に復帰しないまま引退することは選択肢に入っていないと見られる。

 横審の北村正任委員長(77=毎日新聞社名誉顧問)も体調を万全にしてから出場することを求めており、復帰までに猶予期間を与えている。とはいえ、すでに横綱としての連続休場は貴乃花の7場所に次ぐ2位タイのワースト記録(年6場所制以降)。このまま復帰を先送りすればするほど、周囲からの“引退圧力”が強まっていくことは間違いない。

 一門の重鎮の尾車親方(61=元大関琴風)は「(以前に比べれば)だいぶいいと思うけど、もう少し(初日までに)日にちがあったら良かった。ただ(今場所休場して)来場所なら完璧になるかといえば、そうじゃない。本人が悔いが残らないように決めるのが一番」と話したが…。和製横綱の最終決断に注目が集まる。