【ノルディック複合LH】まさかの逆転負け渡部暁斗「3つの誤算」

2018年02月21日 16時30分

メダルを逃した渡部

【韓国・平昌20日発】“日本のキング・オブ・スキー”がまさかの逆転負けだ。平昌五輪のノルディックスキー複合個人ラージヒル(HS142メートル、K点125メートル)で、2大会連続個人ノーマルヒル銀メダルの渡部暁斗(29=北野建設)は5位に終わった。前半飛躍で首位に立ったものの、後半距離(10キロ)で逆転を許し、表彰台をドイツ勢に独占された。ジャンプで安全圏とされる「20秒差」をつけたのに、なぜ敗れてしまったのか? そこには3つの“誤算”があった――。

 ドイツ勢の圧倒的な走力の前に渡部暁が置き去りにされた。「展開としては最悪。全然、ボクの思ったようにはいかなかった」。日本勢初となる悲願の個人戦金メダルは、またも4年後に持ち越しとなった。

 前半飛躍は見事な大ジャンプで134メートルを飛んで1位。しかし4~6位に最も警戒するドイツ勢がつけた。後半距離は24~34秒差をつけてスタート。「悔いの残らないように積極的に走っていきたい」と夢中で走った渡部暁だが、6キロ過ぎに追いつかれる。

 3人で走りながら先頭を随時入れ替え、体力の消耗を防いだドイツ勢に対し、渡部暁は常に先頭を走らされた。体力は限界に達し、終盤の勝負どころの上り坂で他選手とスキー板が接触するアクシデントでバランスを崩してしまい、すぐに立て直せない。直後にドイツ勢がスパートすると、ついていけなかった。「金メダルは遠かったなっていう感じで、これからどうしようかなっていうところもありますね」と珍しく白旗を掲げた。

 敗因は3つある。かつて“キング・オブ・スキー”と呼ばれた所属チームの荻原健司GM(48)は飛躍でライバルに「20秒差」をつけることをラージヒルで金メダル獲得の条件に挙げていたが「20秒の差をつけたんですが、予想外の展開としてはドイツ3人がぴったりジャンプで並んだこと。ドイツ勢がポツポツと離れていれば、別の展開になったかもしれない」と指摘する。

 さらにドイツ勢の「ピーキング」も想像の範囲を超えていた。今季W杯通算5勝の渡部暁に対し、ドイツ勢は3人合わせても3勝。そのため、渡部暁が五輪前にライバル視していたのは個人総合2位のヤン・シュミット(34=ノルウェー)だった。ところが五輪に入ると、ドイツ勢が一気に復調。渡部暁は「ボクのジャンプが普通で他の人(ドイツ勢)が調子悪かったから、ある意味(自分の)結果が残っていただけ」とトーンダウン。ライバルへの対応は後手に回った。

 最後は総合的な走力の不足だ。昨季と比べるとかなり向上したと見られていたが、荻原GMは「何が足りないの?と言われれば、クロスカントリーの力ですかねってなる。また、若干スキーの滑りがよくないと思いました」。2022年北京五輪へ、課題が浮き彫りになった。

 厳しい現実を突きつけられたが、まだ22日の団体戦が残っている。個人ノーマルヒルの銀に続くメダル獲得を狙う渡部暁は「団体戦では、いい走りをできるようにしたい」。荻原GMも「この結果からすれば、ドイツの優勝は確実。日本は銅メダルの可能性は十分ある」という。

 ラージヒルでは飛躍でトップに立つ“必勝パターン”で表彰台を逃したが、この屈辱を晴らすためにも渡部暁は全力で通算3個目のメダルを奪いにいくしかない。