【ジャンプ】現役続行の葛西「北京五輪は兼任監督」の仰天プラン

2018年02月21日 11時00分

メダルに届かず。葛西は小林陵を抱きしめた

【韓国・平昌発】レジェンドはまだまだ終わらない。19日のノルディックスキー・ジャンプ男子団体(HS142メートル、K点125メートル)で日本は合計940・5点で6位に終わり、2大会連続のメダルを逃した。冬季五輪史上最多8度目の出場を果たした“レジェンド”葛西紀明(45=土屋ホーム)はホロ苦い幕切れとなったが、視線の先に「引退」の2文字はない。9度目の五輪出場を目指す2022年北京五輪では「日本代表選手兼監督」の仰天プランが浮上している。

 ぐうの音も出ない完敗にも葛西は前を向いていた。「やり切ったっていう感じですね。ここによく合わせてこれたと思いますし、8回目を出場できてすごい記録つくれてよかったと思います」。悔しさはあるものの、それでも戦い終えたことに胸を張った。

 ソチ五輪から4年、努力なしにはたどり着けない場所だった。年齢にあらがい、技術を追求。「維持することがどれだけ難しいか」とこぼすこともあった。競技以外のイベントで多忙を極め「去年と同じくらい(数が)あると厳しいです」と所属チームに訴えるなど、スポットライトの裏では葛藤とも戦った。

 ソチ五輪では銀、銅と2個のメダルを獲得したが、今大会はノーマルヒルで21位、ラージヒルで33位、団体6位と成績は振るわなかった。それでも気持ちはまだ燃え尽きていない。4年後に向けて葛西は「目指すというか、絶対出ます! まだいけると思っている」と即答。険しい道であろうと、可能な限り現役を続ける。金メダル以外にも成し遂げていない野望がある。「W杯総合チャンピオンですね。これはもう、五輪で金メダルを取るのと同じくらい難しいと言われているんですけど。あとジャンプ週間の総合優勝。取りたいタイトルの一つです」

 その一方で4年後にはもう一つの役割も兼ねるかもしれない。

 葛西は将来像について「やっぱり全日本のヘッドコーチというか監督。どっかの国のチームのヘッドコーチもちょっと経験して、自分のジャンプ理論みたいなものの幅も広げていって、最終的には全日本で一番強い選手をつくりたいなと思っています」と語る。所属の土屋ホーム監督を務め、女子の伊藤有希(23)の指導に当たり「教えて変わっていくのを見てうれしくなりますね」とやりがいを実感しているからだ。

 全日本にとっても監督就任は渡りに船だが、問題はタイミングだ。引退後であれば、葛西自身が「50まで選手をやったとしたら、50からコーチになってジジイだな…」と危惧するように、経験を伝える機会を逸する可能性もある。

 どうすればいいのか。日本オリンピック委員会(JOC)の橋本聖子副会長(53)は次のように話した。「自分で飛びながら、全日本もやればいい。『こういう枠組みの中でこうだ』というのは、これからは取っ払わないとね。だって自分で(選手を)やりながら監督、コーチやったほうが、選手への影響は全く違うから」

 葛西が日本代表監督を兼ねれば、代表選手の底上げにもつながるという。「井上康生(39=柔道全日本男子監督)が今も鍛えているというのは、それだけで選手がついていこうとするから。目の前のお手本はプラスになる。今度は違う意味で、新しいレジェンドの力を発揮してもらってね。(現役も)やり続けてもらいたい。サッカーのカズさん(三浦知良=50、J2横浜FC)のようにね」とエールを送った。

「カミカゼ・カサイ」のニックネームは世界に名をとどろかせる。“葛西ジャパン”が誕生すれば、その存在感だけで大きなインパクトを与えることは間違いない。4年後が楽しみだ。

◇男子メダル「ゼロ」で体制一新か=今大会で監督を務めた全日本の斉藤智治ジャンプ部長(61)は開口一番「すみませんでした」と謝罪。今シーズン終了後に監督・コーチ陣の交代を含め、強化体制を見直す方針を示した。

 日本は竹内択(30=北野建設)、伊東大貴(32=雪印メグミルク)、葛西、小林陵侑(21=土屋ホーム)の順で飛んだものの、1098.5点で金メダルのノルウェーを筆頭とする強力な海外勢の前になすすべもなかった。

 男子のメダルは個人戦と合わせてもゼロ。斉藤監督は「このままでは北京(五輪)は戦えない。来季に向けて新しい体制をつくらないといけない。スタッフの入れ替えも考える。強化方針も変えないといけない」と危機感をあらわにした。

 また、立て直し策の一環として夏の合宿を海外で行う計画を表明。小林陵の成長、スーツの開発などの収穫も口にしたが、低迷打破には荒療治しかない状況となった。