【ジャンプLH】葛西強さの秘密 スキー板にも極意

2018年02月17日 14時00分

本戦に臨む葛西。スキー板にも秘密が…

【韓国・平昌16日発】ノルディックスキー・ジャンプ男子の“レジェンド”葛西紀明(45=土屋ホーム)が17日の個人ラージヒル(HS142メートル、K点125メートル)で悲願の金メダルをたぐり寄せる。冬季五輪史上最多8度目の出場ながら現在まで第一線で活躍しているのは、まさに長年の経験で培った英知の結集だ。特に葛西が愛用するスキー板に“極意”が隠されているという。

 予選は122・5メートルの104・2点と22位で通過。葛西は「ゴミですね、ゴミ。すごい消極的なジャンプ。自分に腹立っています」と吐き捨てたが、すでに気持ちは切り替えた。前回ソチ五輪で銀メダルを獲得した得意種目。「昨日までやってきたことをイメージして。あとは風の当たりは悪かったので、明日は当たってくれると信じて飛びたい」とうなずいた。

 45歳にして世界のトップジャンパーと互角に戦えること自体が驚異のひと言だ。しかし葛西のすごみは心技体の維持だけではない。スーツをはじめとする道具にも独自のノウハウが詰まっている。

 特に個性を光らせるのがスキー板だ。葛西が小学生時代から愛用するスキー板メーカーのフィッシャーは「木材はウクライナ産、加工はオーストリア」の伝統を守り、世界的に定評がある。その中で、レジェンドのこだわりは板の硬さにある。

 ジャンプでは軟らかい板を使う選手が多いが、葛西が選ぶのは硬い板だ。経験の浅い選手が使えば「ポジションが悪かったらすぐ体勢崩しちゃう」(フィッシャー関係者)という“暴れ馬”にもかかわらず、葛西が使いこなせるのは理由がある。

「硬いほうが一発で、パッと飛型が決まるんですよ。軟らかい板だと、決まるまでタイムラグが生まれる。葛西さんは飛び出しから自分の姿勢を決めるまでがめちゃくちゃ早いんです。究極の域まできている」(同)。飛型でモタつくことは一切ない。それが、長年技術を積み上げてきた葛西ならではの“極意”だ。

 また、硬いスキー板はもう一つのメリットがある。風の抵抗を受けにくいのだ。「絶対硬いほうが(風に)あおられる確率は低くなる。安定感はある」(同)。平昌の気まぐれな風を攻略するにはぴったり。板は20年前に比べると、30%も軽量化したと言われる。道具の変化にも的確に対応する葛西自身の成長も見逃せない。

 決勝に向け「あれこれ考え過ぎてもそんなに変わらない」と慌てるそぶりは皆無。“無心”のジャンプで悲願の金メダルをつかみ取る。