表彰式で笑顔 高梨沙羅の思春期乗り越えた父娘物語

2018年02月14日 16時30分

銅メダルを手に笑顔を見せた高梨沙羅

【韓国・平昌13日発】ノルディックスキー・ジャンプ女子個人ノーマルヒルで銅メダルを獲得した高梨沙羅(21=クラレ)は父でコーチの寛也さん(50)とのタッグで一つの偉業を成し遂げた。小学校2年生から一貫指導を受け、前回ソチ五輪で挫折を経験しながらも悔しさをバネに2人で高みを目指してきた。知られざる“父娘物語”とは――。

 試合から一夜明けた13日、高梨はメダルセレモニーに出席した。極寒の中、一人だけ手袋もはめずに参加したのは「じかに(メダルを)触りたかった」からだ。とびきりの笑顔でメダルをかざしてみせた。

 表彰式を終えた高梨はメダルについて「コーチである父にかけてあげたい。小さいころからずっと見てきてくれて平昌五輪では遠くから見守ってくれたので、とても心強かった。こうしてメダルを取れたのも家族の支えがあってのこと」と話し、真っ先に父・寛也さんへの感謝を口にした。

 寛也さんは日体大出身の元ジャンプ選手でフィンランドのラハティにスキー留学した経験がある。高梨が小学校2年生でジャンプを始めて以来、二人三脚で世界の頂点を目指してきた。

 父と娘の絆はどんな時も途切れなかった。高梨が思春期真っただ中の10代半ば。寛也さんとの会話は少なくなり、笑い話をしなくなった。反抗期のようだった。それでも父と娘はスキーの話だけは絶やさなかった。「ジャンプの話はしていました。ジャンプに関してはずっと、ですね」(寛也さん)と関係をつないだ。

 一方、高梨も年1回の誕生日には父に感謝の気持ちを表した。ドイツでの大会のことだ。ジャンプを飛んだ高梨は、はめていたグローブの手のひらをカメラに向けた。「ハッピーバースデー」と書かれていた。寛也さんへ向けたお祝いメッセージだったが、そうとは気づかなかった父は「ハッピーバースデーって相手誰よ?」と激しく動揺…。彼氏?へのメッセージと勘違いしたのだが、娘からの粋なはからいだった。今ではグローブのプレゼントは恒例になっている。

 最近の愛娘について、寛也さんはこう話す。「沙羅が一番大人になったと思うのは、自分で今のジャンプはどうだったとか、分析ができるようになったこと」。父に頼るばかりでなく、自分自身で課題を研究し、コーチングもできるようになったことを本当に頼もしく感じているという。

“父離れ”は成長の証しでもある。親にとっては寂しくもあり、うれしいもの。高梨はそんな気持ちも察しながら、今後も寛也さんとタッグを組んで、2022年北京五輪で悲願の金メダル獲得を目指していく。