飛型審判員・西森氏に聞くジャンプ高得点の鍵

2018年02月01日 16時30分

アルトハウスは飛型も着地も美しい(ロイター)

 平昌五輪でノルディックスキー・ジャンプの高梨沙羅(21=クラレ)や葛西紀明(45=土屋ホーム)、複合の渡部暁斗(29=北野建設)らメダル候補の行方を左右するのがジャンプの着地だ。カギとなるのはテレマーク姿勢を含めた飛型点。平昌五輪で日本から唯一ジャンプの飛型審判員として派遣される西森勇二氏(45)が、本紙の単独インタビューで高得点を出すための秘訣を語った。

 西森氏は昨年、平昌で行われた男女ジャンプのプレ大会でも飛型審判員を務めた。五輪では男女ジャンプか複合のいずれかで審判を務めることが決まっている。

 西森氏:どの種目をやるというのは決まっているわけではないです。男子もノーマルヒルなのかラージヒルなのか団体をやるのか。コンバインド(複合)まであるので、どこでどう呼ばれるか分からない。ただ、例えば女子ジャンプなら予選から一つの大会なので、選ばれたら予選の段階から審判をやることになります。

 五輪での審判は初めてとはいえ、豊富な経験から試合で飛型点が出るためのポイントは熟知している。真っ先に挙げたのは“試合以外”の部分だった。

 西森氏:飛型点(のコツ)は基本的に選手も個々に知ってます。あとは印象点になってくる。五輪は現地で事前練習がある。それも実際に審判が見ています。練習の最中は審判同士、テレマークについて話をするんです。いいテレマークを入れている子は「うまいな」という印象になるんですよね。

 飛型審判の仕事場はジャッジタワーと呼ばれる場所だ。室内のモニターでは着地の部分が連続再生される。試合中は互いに会話できない。

 西森氏:あまり他の審判と(採点が)離れたくないんですよね。審判団というのは。「だいたいこの点数だな」「他の審判がこの点数つけそうだな」という点も意識しますので、練習は大事なんじゃないかと思います。

 飛型点はジャンプ台を飛び出した後、両足を前後に開く着地のテレマーク姿勢まで採点される。大事な要素は何か。

 西森氏:本来、飛型点のつけ方は違うって言いますけど、イメージ的にはまず距離がいくことですよね。距離がいかないと点数が出ないので。距離が出て、テレマークは入って何も動かないとぴったり入ったなという印象になります。あとは印象的にいいのは(テレマーク姿勢で)手が上がっていること。審判も人間なので印象は大事です。

 また後ろ足の動作も見逃せない。着地の衝撃で足を取られ、水平に進むはずのスキー板が傾き、バランスが乱れることがある。これは減点の対象だ。

 西森氏:今は金具が完全に固定されているので特になりやすい。内側に入った時にエッジが立っちゃうんです。審判の講習で特に言われています。気をつけてもらったほうが減点は少ない。そういう小さいところで勝負は決まってくるのかなと思いますしね。男子のノーマルヒルとかすごい僅差の戦いでしょうから。

 実際の選手のことはどう見ているのか。審判は見本映像や試合を何度もチェックし、目も肥えている。例えば女子ジャンプでは審判の間で評価の高い選手がいるという。

 西森氏:女子に関してはテレマークがうまいのはカタリナ・アルトハウス(21=ドイツ)と伊藤有希(23=土屋ホーム)。他のジャッジと話してた時には、みんな「この2人が上手だよな」と言っていました。

 テレマークは高梨も高得点を出している。かつては苦手としていたが、昨夏の国際大会ではオール19点を出した。

 西森氏:この間の札幌のW杯を見てても改善されている。普通通り、テレマーク姿勢を取れれば自然といい点数はつくと思う。テレマークに関しては、すごい彼女は努力したと思いますよね。

 審判も日の丸を背負った日本の代表だ。自国の選手の活躍が仕事においても励みになる。

 西森氏:いいジャンプして日本チームにいい点数がつけられれば、五輪に行くボクにとっても喜びです。ひいき目ではなくて、実際にいいジャンプをしてもらって、いい点数をつけて帰ってきたいと思います。

 ☆にしもり・ゆうじ 1972年12月2日生まれ。北海道・小樽市出身。小学校2年生からジャンプを始める。25歳で引退。飛型審判として国内で活躍した後、2010年に国際飛型審判の資格を取得。W杯札幌大会では競技委員長も務める。