2019年に行われるラグビーW杯日本大会の全日程が2日、都内で発表された。1次リーグA組の日本代表は9月20日の開幕戦(味の素)で初戦を迎え、1次リーグ4試合は全て中6日もしくは中7日と恵まれた日程となった。自国開催で初のベスト8となる決勝トーナメント進出へ追い風となりそうだが、喜んでばかりもいられない。2つの“死角”が潜んでいるからだ。

 日本は9月20日のW杯開幕戦で欧州予選の勝者と対戦。その後は同28日にアイルランド(静岡)、10月5日(豊田)は欧州・オセアニアプレーオフ勝者と激突する。同13日にスコットランドとの1次リーグ最終戦(日産)に臨む。

 いずれも中6日、中7日と余裕のある試合日程。2015年W杯イングランド大会では初戦で優勝候補の南アフリカから大金星を挙げた後、疲労も抜けないまま中3日でスコットランドに大敗した二の舞いは避けられそうだ。今回は休養と準備への時間も確保し、悲願のベスト8進出への期待は高まる。

 日本代表主将のリーチ・マイケル(29=東芝)も「試合の間が7日くらい。1週間の間隔でどうピークをもっていくかのプロセスを組めるのでよかった」と笑顔。しかも2戦目で対戦するアイルランドは初戦から中5日、最終戦で当たるスコットランドは第3戦から中3日と、日本に比べ厳しい日程になったのも有利に働きそうだ。

 その一方で、日程面の恩恵に隠れがちなマイナス要素も存在する。W杯日本大会組織委員会が「全国各地で盛り上げるため、集客力のある日本代表戦はさまざまな場所でやりたい」と要望した通り、国際統括団体のワールドラグビー(WR)は日本戦を全て違う4会場に振り分けた。

 前回大会でイングランドは開催国のメリットを生かし、初戦から3試合連続同会場で開催。環境の違いや移動負担を避ける戦略だったが、日本は明らかに違う方針だ。日本代表のジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC=47)は「(キャンプ地は)まだ具体的に決まってないが、移動はできるだけ避けたい。移動が多くなると選手たちに悪影響が出る」と神経をとがらせていた。

 さらに、6月のテストマッチで勝利し、格下と見られるルーマニアとの対戦が濃厚な1次リーグ初戦も大歓迎とは言えない。ジョセフHCは初戦の相手を「アイルランド、スコットランドというのが希望」と語っていた。しかし、確実に集客が見込める開幕戦で「日本が勝てば大会全体が盛り上がっていく」(関係者)との思惑が反映された結果という。

 この日、指揮官は「ティア1(強豪約10か国)のチームに勝って勢いをつけたいと思っていたが、どの試合も楽な試合はない」と話すにとどめたが、計算が狂ったのは間違いない。関係者も「初戦で前回(のW杯で)負けたスコットランドにリベンジしたら、これ以上ない勢いがつく」と指摘。リーチも「リベンジしたい気持ちがある」と強調する。しかし自国開催のW杯を盛り上げるために“現場の意向”は最優先されなかったわけだ。

 これらの要素が、大きなマイナスになることは避けられない。悲願の8強入りを期待されるジョセフジャパン。あまりに過酷な戦いに挑む。