ラグビー日本代表のテストマッチ3連戦(11日=カナダ戦、18、25日=スコットランド戦)は、FB五郎丸歩(30=ヤマハ発動機)にとって“運命の分かれ道”となりそうだ。

 昨年のW杯イングランド大会以来の最強メンバーによる日本代表戦には、世界最高峰リーグ「スーパーラグビー(SR)」をはじめ、世界のトップリーグで武者修行している海外組が集結。2日に都内で行われた記者発表で薫田真広強化担当ディレクター(49)は「選手全員が(日本開催の)2019年W杯に向けた最初のフィルターにかかる試合」と位置づけた。

 当初はSR・レッズでプレーした五郎丸も招集される見込みだったが、5月21日のサンウルブズ戦で右肩を負傷して今季絶望。そんな五郎丸をさらなる窮地に追い込むかもしれないのが“視聴率”だ。

 今回の3連戦は日本テレビ系で地上波生中継される。昨年のW杯同様のドル箱状態を期待していただけに、日テレ関係者は五郎丸不在を嘆きつつも「彼がいないなかでどのくらいの数字(視聴率)なのか。ラグビー人気の“五郎丸依存度”を知るいい機会になるんじゃないか」と漏らす。

 W杯でベストフィフティーンに選ばれ、キック前のルーティン“五郎丸ポーズ”で一躍人気者となり、現在も日本ラグビー界をけん引するスター選手。一方で五郎丸も「僕がW杯(のピッチ)に立つかわからない」と語るように、33歳で迎える大舞台に懐疑的な声も少なくない。ピッチ外での付加価値が下がれば、“致命傷”となりかねないというわけだ。

 他にも「15番(FB)でフォーカスしてやっていきたい」と五郎丸の定位置奪取を狙うCTB松島幸太朗(23=サントリー)の台頭など世代交代を加速させる要素は多い。五郎丸は新生日本代表の船出を複雑な心境で見守ることになりそうだ。