金メダルへ秘策あり! ラグビー7人制女子の日本代表「サクラセブンズ」は、リオデジャネイロ五輪アジア予選日本大会(11月29日、秩父宮)で優勝し出場権を獲得した。今後は五輪本大会に向け“金メダル取りプロジェクト”を発動。五輪3大会連続金メダルのレスリング女王・吉田沙保里(33=ALSOK)、なでしこジャパンなど五輪で実績を挙げた選手やチームから「金メダルの流儀」を学んでいくという。

 ようやく待ちに待った日がやって来た。引き分け以上で五輪出場が決まった1次リーグ最終戦のカザフスタン戦は逆転負けを喫したが、負けても22点差以内なら五輪切符が決まる同じカードで行われた決勝を14―7で勝って、男子に続き出場権を獲得した。

 浅見敬子ヘッドコーチ(38)は「プレッシャーはなかったわけではなかった。カザフスタンに負けたけど、最後は勝って五輪切符を取れてよかった」と歓喜。主将の中村知春(27=アルカス熊谷)は「4年前はアジアでトップ取れなくて、苦しい4年間だったけど報われた」と、しみじみ喜びをかみしめた。

 次はもちろん世界一が目標だ。中村は「このチームは金メダルを取るためにやっている」ときっぱり。日本ラグビー協会の本城和彦・五輪セブンズ部門長(55)も「トップ4の国(ニュージーランド、オーストラリア、カナダ、米国)は強いが、頂点に近いのは(男子よりも)女子のほう」と大きな期待を寄せた。

 とはいえ、国民の注目を一身に浴びる五輪では普段の力を発揮できないことも珍しくない。特に、ラグビー女子はリオ五輪で初めて実施される。五輪でいかに戦えばいいのかどの国にもノウハウがないだけに、日本も大きな重圧を受けるのは避けられない。こうした状況の打開策として、サクラセブンズでは優れた五輪実績を挙げた“先人”の経験を生かすことを検討している。

 横尾千里(23=東京フェニックス)は「金メダルを狙うためにオリンピックで金メダルを取った人から話を聞いて参考にするのは大事」と話す。

 2000年シドニー五輪の女子マラソンで金メダルを獲得し国民栄誉賞に輝いた高橋尚子氏(43)ら多くの候補が考えられるなか、レスリングの吉田もその一人だ。“霊長類最強女子”はプレッシャーをものともせず、不屈の精神力で五輪3連覇を達成。世界大会では16連覇にまで達し、国民栄誉賞も受賞した。リオでは前人未到の4連覇を目指すなか、そのメンタルが大きなプラスになるのは間違いない。しかも、吉田の得意技はタックルだ。15人制男子代表が格闘家の“世界のTK”高阪剛(45)から「低いタックル」の指導を受け、W杯イングランド大会での活躍につなげている。世界最高のレスリング技術がラグビーのタックルに生かされる部分は多くあり、チーム強化に直結するメリットもある。

 団体競技では、こちらも国民栄誉賞のサッカー女子代表「なでしこジャパン」がお手本だ。11年ドイツ女子W杯で優勝し、ロンドン五輪では銀メダルと世界の実績は十分。加藤慶子(27=世田谷レディース)は「夏にスマイルジャパン(アイスホッケー女子代表)からソチ五輪の話を聞いてすごく勉強になった。機会があれば、話を聞いてみたい」と意欲的だった。

 山口真理恵(26=ラガール7)はバレーボール女子代表の真鍋政義監督(52)の指導を参考にしている(本紙既報)。他競技を参考にしながら「自分たちの新しい道をつくっていきたい」(横尾)と独自の“金メダル取りプロジェクト”を進めていく。五輪出場で一気に注目度を増したサクラセブンズが、リオで大輪の花を咲かせられるか。