日本の名将が現最高指揮官への対抗心をのぞかせた。先月のラグビー日本選手権でヤマハ発動機を初優勝に導いた清宮克幸監督(47)が17日、都内の日本記者クラブで会見し、今秋のW杯イングランド大会に出場する日本代表を率いるエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC=55)のラグビーと自らのスタイルを対比させた。

「高校生が見てどっちが面白いかといったら、ヤマハの方が面白い。やっていた僕が思うのだから間違いない」

 清宮氏は両者のラグビーをそう例えた。サントリーの選手時代、エディー氏がコーチを務めた時期があった。エディー氏はその後、同チーム監督を経て2012年から日本代表HCに。一時は日本を初の世界ランキング10位以内まで押し上げた。

 母国オーストラリアの指揮を執って03年W杯で準優勝、07年W杯ではアドバイザーとして南アフリカの優勝に貢献。日本では「エディーがつくったサントリーのスタイルに傾いている」(清宮氏)という流れが生じた。しかし、独自の「ヤマハ・スタイル」を貫徹してタイトルを取った同氏は「今後はヤマハのスタイルが日本に広がっていく」。エディー流にもかつて触れた立場として、自らのラグビーの方が「面白い」と言い切った。

 オーソドックスな方法を廃し、ボール保持を重視するのがエディー流。ヤマハ・スタイルは強固なスクラム、モールと常識を打ち破ったBKのフォーメーションなどを特徴とする。いずれも斬新な試みだが、清宮氏の自負は強い。

 エディー氏の任期は今回のW杯まで。日本で開催される19年W杯のHCは、その結果を受けて日本ラグビー協会が判断する。清宮氏は「結果を出してほしい」とエディー・ジャパンにエールを送る一方、「今(エディー氏が)やっていることは『挑戦』。ダメな結果であれば別の方向にかじを切ることになる。そうなれば名乗りを上げる」。過去に早大、サントリーを優勝に導いた日本の名将は、代表HC立候補への覚悟も示した。