ラグビーのトップリーグ(TL)・キヤノンの沢木敬介監督(45)が、万年中位チームを変えようとしている。

 昨年6月に就任した沢木監督は、日本代表コーチ、サントリー監督などを歴任。それぞれ結果を残してきた手腕を買われてチーム強化を任された。

 21日にNTTドコモとの開幕戦(町田・Gスタ)を控える指揮官は15日のオンライン取材で「開幕の延期があり、選手のモチベーション維持は難しかったが、(監督就任)1年目で大きくラグビースタイルを変えている最中なのでプラスに考えている。シンプルにスペースへアタックするシステムだが、オリジナルのシステムにチャレンジしたい」と語った。

 サントリーで結果を残した沢木監督だが、同じラグビースタイルは踏襲しない。「チームのベストを探していかないといけない。今はスキルレベルという武器を身につけていないので、高度なラグビーはできない。高度なスキルを持つ選手を増やす一方で、自分たちのオリジナルのラグビーを試合を重ねるごとに追求していきたい」。そのために最も技術レベルの高い日本代表SO田村優(32)を主将に据え、そこにチーム全体のスキルスタンダードを求めて強化を進めている。

 また、選手の意識改革も辛抱強く取り組んでいる。「ラグビーの考え方、取り組み方に(選手間で)差があるので、どんどん高いものにしていかないといけない。一人ひとりの意識を変える作業は、ある程度は我慢が必要」

 まだチームは発展途上という段階なだけに、具体的な目標は明言しなかったが「(直近のTL成績は)12位のチームなので1試合1試合、全力で成長していきたい。序盤に神戸製鋼、パナソニック、ヤマハ発動機と(の対戦が)続くので、ここで取り組んできたことを勇気を持ってチャンレンジしていきたい」と力を込めた。