シーズン前に引退を表明した理由とは――。ラグビー元日本代表FB五郎丸歩(34=ヤマハ発動機)が16日、静岡・浜松市内で記者会見を開催。トップリーグ(TL)開幕前に会見を行った経緯を説明した。

 異例とも言えるタイミングでの告白について「シーズン後に引退会見をするのが本来の形であると理解しているが、昨シーズンは新型コロナウイルスの影響で6試合でシーズンが終了した。このことが1つの大きな要因」と説明した。

 その上で「もう1つの要因としては、2015年W杯イングランド大会後から本当に多くの方に応援していただき、支えていただいた。そういった方々に対して、もしかしたら途中で中断してしまうシーズン前にしっかりとした形でごあいさつさせていただき、自分のラストシーズンを迎えることが私の考えるみなさんへの礼儀と考え、この会見を承諾させていただいた」と明かした。

 来シーズンからは、TLに代わる新リーグがスタート。かねて35歳での引退を決断していた五郎丸に「もう1年やってほしい」との声も出ていたというが「22歳のときに決めた(35歳で引退)自分の意見を曲げずにここで気持ちよくTLとともに去る決断の方が自分に合っている」と最後まで意志を曲げることはなかった。

 常にラグビーの普及、発展のために誰よりも尽力してきた五郎丸らしさが垣間見えた時間だった。