日本中を熱狂させた昨秋のラグビーW杯日本大会の収支が、約68億円もの大幅黒字を計上している。10日に大会組織委員会が発表した。

 チケット収入は総収入677億円のうち389億円を占めており、完売率99%以上という驚異の売り上げによって黒字がもたらされた。そのため会場整備や大会運営などの経費を差し引いても68億円が残る計算。組織委の嶋津昭事務総長(76)は「(初のベスト8入りした)日本代表が頑張ったことは褒めたいが、それだけではない。にわかファンを含めてラグビーの魅力が評価されたのでは」と説明した。

 この黒字分を、3月末で解散する組織委から譲渡される日本ラグビー協会が、基金を設立して今後の競技発展につなげるレガシー事業を進めていく。嶋津事務総長は「将来の発展につなげてもらいたい」と期待した。

 現段階で決まっているのは、約68億円を3分割し「新設される秩父宮ラグビー場内のW杯日本大会ミュージアム設置」「ラグビーを通じた地域活性化」「日本ラグビーの強化とアジアでのラグビー振興」といった目的にそれぞれ使われる。

 ミュージアム設置はともかく、残る2つの具体的な使い道が、将来の日本代表強化につながる競技人口増加などの成否を左右していきそうだ。