2020年から4年契約を新たに結んだラグビー日本代表のジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC=49)が、23年W杯フランス大会へ向けて難題に直面している。

 先の日本大会で日本を史上初のW杯ベスト8入りに導いた手腕を評価され、これまでの約2倍となる年俸9000万円(推定)を手にする指揮官に求められるのは、当然ながら4年後の4強入り。日本ラグビー協会の森重隆会長(68)は「初のベスト8進出に導いてくれたことで世界一の背中が見えてきた。これからの4年間、さらに日本代表を強化してくれることを期待している」とコメントするほどだ。

 大きな期待とは裏腹にジョセフHCが、課せられたミッションを達成するのは容易ではない。ライバルチームからのマークがさらに厳しくなるのは言うまでもないが、ベスト8入りの原動力となった手法を踏襲できない可能性があるのだ。W杯日本大会前の2月から計250日にもわたる世界でも類を見ない長期合宿を敢行して徹底強化を図ったが、あるトップリーグ(TL)関係者は「今後、海外チーム所属選手が増えれば、同じような長期拘束は難しくなる」と危惧した。

 今回の日本代表はTLチーム所属選手ばかりだったため、長期拘束も比較的スムーズに進んだ一方、欧州挑戦を公言するWTB松島幸太朗(26=サントリー)のような選手が増える傾向にある状況では同じ手は使えない。スーパーラグビーのチーフス(ニュージーランド)に所属したWTBアタアタ・モエアキオラ(23=神戸製鋼)はチーム事情で7月から日本代表に合流した結果、連係面に課題を残し、W杯5戦で全てベンチ外だった。

 ジョセフHCは「先を見据えると、まだまだやらなければならない課題がある。今まで以上にチームを強化していきたい」と意気込むが、選手の拘束問題にどう対処していくのか。手腕が問われる。