ラグビーW杯初の8強入りを果たした日本代表に“魂の結束”あり――。準々決勝までの全5試合にスタメン起用されたCTB中村亮土(28=サントリー)が、チーム躍進の秘話を語った。

 ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC=49)率いる日本は大会前、厳しいトレーニングに重点を置いて強化に励んできたが、特別チーム「ウルフパック」を結成して5試合ながらスーパーラグビー(SR)下部チームとの実戦機会を設けた。11日に取材に応じた中村によれば、当時、同HCがリーダーを集めたミーティングでこう語ったという。

「心中というか、ビルから一緒に飛び降りるような覚悟があるやつと最後はやらないといけないから、お前たちもそういう覚悟を持ってやってくれ」

 指揮官の力のこもった言葉を聞いた中村も「それくらいの信頼関係を築かないといけないということ」と腹をくくったという。その後の日々の練習を通じて一体感を高めた日本代表の選手、スタッフらは「ONE TEAM」となり、W杯で国民を大熱狂させた快進撃につなげたわけだ。

 その中村はプロ契約ではなく、代表メンバーでは珍しい社員選手。「いろんな考え方があるけど(プロに)なろうとは思わなかった」。普段は販売店への営業を行いながらプレーを続けており「社員の皆さんに勇気と感動を届けるという意味では近い存在でないといけない」と自身の流儀を貫いている。

 4年後のW杯フランス大会にも興味を示す中村はこれからが“働き盛り”だ。