【ラグビーW杯】日本とスコットランド遺恨も 台風で13日中止なら猛反発必至

2019年10月11日 16時30分

日本は8強入りしても喜べない?

 ノーサイドにはならない? ラグビーW杯日本大会組織委員会と国際統括団体ワールドラグビー(WR)は10日、台風19号の影響で12日の1次リーグB組ニュージーランド―イタリア戦(豊田)と同C組イングランド―フランス戦(日産)を中止すると発表した。W杯での試合中止は大会史上初で各チームに波紋を呼んだが、台風問題は日本も直撃。A組最終戦スコットランド戦(13日、日産)が中止となれば、戦わずして初の8強入りを達成する。その一方で敗退の可能性が高いスコットランドとの間には、大きな遺恨が残りそうだ。

 9回目を迎えるラグビーW杯で、史上初の試合中止が決まった。大型で非常に強い勢力を維持した台風19号の接近を考慮。この日、都内で会見した組織委の嶋津昭事務総長は「チーム、観客の安全を考え、影響を最小限にとどめて一番適切な対応を取ろうと検討してきた。2試合の中止はやむを得ない判断」と説明した。

 中止となった2試合のチケット、計10万枚超は全額払い戻し。各種チケット代は平均すると約2万円で少なくとも20億円の損失だ。それでもアラン・ギルピンW杯統括責任者は「経済的影響のことは今後、保険のことも含めて話していく。まずは安全を第一に考えた」と冷静にコメントした。

 現時点の中止は2試合のみだが、今後の状況次第ではA組の日本―スコットランド戦を含め13日の4試合も中止の可能性がある。嶋津事務総長は判断のタイミングについて当日朝までに判断することを前提とした上で、「原則キックオフ6時間前までに試合をやるかやらないか決めると、そういうルールがある」と説明。「最新の気象状況も見て開催都市ともよく協議して、できるだけ早い時間に発表したい」との見解を示した。

 試合開催の可否が流動的な中、同じA組の強豪アイルランドが12日のサモア戦(博多)で引き分け以上で、日本―スコットランド戦が中止なら、スコットランドの1次リーグ敗退が決まる。こうした状況を受け、スコットランド協会は公式サイトで声明を発表。「最終戦の持つ重要性を踏まえ、私たちが準々決勝進出を懸けた試合ができるように対応策が取られることを期待する。私たちはそれを柔軟に受け入れる」とあくまで開催することを要望した。過去8大会出場で8強入りを逃したのはわずか1度(2011年)という強豪国のプライドが、非伝統国の日本と戦わずしての敗退を受け入れられないようだ。

 実際、スコットランドは日本の8強入りの可能性が高まったころから“口撃”を開始した。グレゴー・タウンゼンド・ヘッドコーチ(HC=46)はサモア戦後(9月30日)に「A組は全チームが短い休みで日本と当たる」。最終決戦にはスコットランドが中3日で迎えるのに対して、日本は中7日となるなどホスト国“優位”の日程に不満たらたらだった。また同HCは日本がサモア戦(5日)のラストプレーでボーナスポイント獲得となる4トライ目を決めたことにも、そこに至る審判の判定に疑問を呈した。

 仮に中止となれば、スコットランドの猛反発は明らか。ルール上問題がなくても、あらゆる手段で抗議をしてくるのは間違いない。かたや日本としても天災だけにどうすることもできず、両チームの間に不穏なムードも漂いかねない。あるトップリーグ関係者は「試合が行われなかったら、今後の関係悪化は避けられない」と危惧する。

 15年大会ではスコットランドに敗れて8強入りを逃した経緯もあって、日本のリーチ・マイケル主将(31=東芝)は「ボコりたい」と気合十分。やはり試合で白黒はっきりつけたいところだが、開催には安全面を最優先することに変わりはない。

 果たして紳士のスポーツで“ノーサイドの精神”を貫けるだろうか。