【ラグビーW杯】現在トップの4トライ・松島の恩師が明かす進化の過程

2019年10月08日 16時30分

精神面で成長した松島(中央)が日本をベスト8に導く

“フェラーリ”が目的地へ導く――。ラグビーW杯1次リーグA組で3連勝中の日本代表は最終戦のスコットランド戦(13日、日産)に臨む。引き分け以上で悲願の8強入りが決まる注目の一戦。今大会トップ(7日現在)の4トライをマークするWTB松島幸太朗(26=サントリー)の活躍に期待がかかるが、そんなトライゲッターを育てた神奈川・桐蔭学園高ラグビー部の藤原秀之監督(51)が「成長物語」を語った。

 4年前の前回大会で10―45と黒星を喫したスコットランドとの最終決戦が迫ってきた。過去1勝10敗という難敵撃破には、初戦ロシア戦(9月20日)の“ハットトリック”を含め4トライをマークした松島の活躍は不可欠。ジンバブエ人の父と日本人の母を持つトライゲッターは中学時代の南アフリカ留学を通して能力を開花させた。

 藤原監督(松島が帰国後に所属していた)ワセダクラブにうちのOBがいて「面白い選手がいないか」となったときに彼の名前が挙がってね。中学3年の12月にあった試合で見たけど体のバネ、瞬発力、スピードがずぬけていた。

 すでに高校レベルに達しており、桐蔭学園に進学後は1年生でレギュラーに抜てき。FBとして起用されたため、周囲とのコミュニケーションや攻守の連係を徹底的に叩き込まれた。

 藤原監督 今どういうディフェンスをしていて、どういうスペースを生むのか。どの辺りが抜かれやすいのかを「常に(先を)読みなさい」と。自分が楽をしたいんだったらスペースを埋めるようなポジショニングの指示を「出しなさいよ」ということは教えた。

 基礎的なスキルに的確な判断能力も加わり、3年生で迎えた2010年度の全国高校ラグビーフットボール大会(通称花園)で優勝に貢献。しかし、同監督は松島の能力を認めながらも当時は感情的なシーンが目立ったため、メンタル面が課題だった。

 藤原監督 高校時代はカッと熱くなることがしばしばあった。例えばFWが押されたときや、自分が関与できないところで思った通りにならなかったときにね。本来の役割を捨てて、自分もそのプレーに参加してしまったり。(FBがいるべき)後ろじゃなくて前線に来てしまうとか。裏に誰もいないじゃないかって(笑い)。

 高校卒業後は南アのダーバンを本拠地にするスーパーラグビー・シャークスの下部組織に3年間在籍。新たな環境に身を置くと、愛弟子はひと皮むけたという。

 藤原監督 今は全然違う。留学を含めて経験をしてきたからね。トップリーグもそうだけど(松島のプレーを)見ていてメンタルコントロールができているし、落ち着いているなと感じる。(食事の席でも)前は座っているだけだったけど、皿やサラダを分けたり、その辺は気を使ってるね。

 こうした成長も松島が常に自分自身と向き合ってレベルアップを求めてきた成果だろう。そして、日本代表の8強入りに向けて“フェラーリ”は最高のパフォーマンスを披露する。

 藤原監督(ロシア戦は)たまたまトライをしたのが彼だったということかな。試合はじっくり家で見ていた。とにかく(松島には)1試合でも多く試合にスタメンで出てほしい。それが日本の勝利に近づくことになる。それなりの責任もあるけどね。