【ラグビーW杯】悲願の8強入りへ自“酒”規制 田中史朗が激白

2019年10月01日 11時00分

田中(左から2人目)の的確な指示が日本の勝利を呼び込んだ

 4年前の失敗は繰り返さない――。ラグビー日本代表は9月28日のW杯1次リーグA組第2戦(静岡)で世界ランキング2位(現在4位)のアイルランドに19―12で逆転勝ちする大番狂わせを起こし、劇的な2連勝を飾った。日本中を歓喜させて悲願の8強入りへ大きく前進したが、勝負の第3戦サモア戦(5日、豊田)に向けてベテランのSH田中史朗(34=キヤノン)が胸中を激白。前回大会の苦い経験から懸念されてきた飲酒問題は「1杯の酒」で克服する構えだ。

 後半18分、わずか2分前に投入された田中が起点になり、WTB福岡堅樹(27=パナソニック)の逆転トライにつなげた。その後もベテランらしく時間をうまく使いながら、攻守のメリハリをつけて逃げ切りを演出。2015年W杯イングランド大会の南アフリカ戦に続く、大金星の当事者となった。

 田中:日本開催のW杯で、みなさんの前で勝てたのが本当にうれしい。これでやっと南アの話から解放されるのかなと(笑い)。この4年間ずっとそういう話をされたけど「南アに勝っただけじゃない」と言いたいし、子供たちに「努力すればどんな相手にも勝てるよ」と伝えられたと思う。

 日本は今年2月から東京、4月から千葉で合宿を行い、底上げを図った。6~7月の宮崎合宿ではフィジカル力アップに努め、同下旬からのパシフィック・ネーションズカップに参戦して3戦全勝。8月の北海道・網走合宿で技術力を高めるなど、約半年間にわたって徹底強化してきた。さらにスタッフ陣の緻密な分析と戦略、準備が難敵撃破につながった。

 田中:最後まで走れていたし、宮崎と北海道の合宿がなければ、ここまでできなかった。しんどいことをすれば勝てる可能性があると体現できた。やることはこれまで通り。しっかりリカバリーと準備をし、相手を分析して戦う。日本なので周りの(過度に期待する)雰囲気になってくるので、しっかり自分たちにフォーカスしたい。

 見据えるのはサモア戦だ。2連勝も、8強入りの目標を達成したわけではない。浮かれムードを排除すべく、引き締めに取り組む。中でもかねて懸念材料となっているのが飲酒問題。今回はロッカーに常備されるビールを試合後、各自判断で1杯程度飲むことだけが許されるという。

 田中:祝杯は(大会が)終わってからなんぼでも挙げられる。(W杯期間に入ってからは)チームとして、外でお酒を絶対に飲まないようにしている。試合後のロッカールームを出たら飲まないようにしようという話はみんなでしている。

 本紙8月30日発行1面でも報じたように、4年前の南アフリカ戦勝利後、歓喜に沸く一部選手は祝杯に酔いしれた。田中はその行為を苦々しく思いながらも制止することができず、続くスコットランド戦に大敗。優勝候補に勝ち、1次リーグ3勝1敗としながらベスト8入りを逃した一因となった。

 田中:W杯は日本開催だし、しっかり結果を残さないと、これからの日本のラグビーが終わってしまう。それは嫌なので自分たちでコントロールして日本のラグビーのために頑張っていきたい。

 W杯3連覇を狙うオールブラックス(ニュージーランド代表)ですら大会中のアルコール摂取にはおおらか。一部メディアに飲食店でラーメンとビールを楽しむ姿を報じられたのも、ラグビー界では珍しい光景ではない。だが、4年前の悲劇を繰り返したくない田中らを中心に、日本は「1杯の酒」のみ認められた“ストイック集団”へと変貌。8強どころか、その先へと突き進む。

【リーチ「ディフェンスでプレッシャーをかけられるか」】日本代表フランカーのリーチ・マイケル主将(30=東芝)が劇的勝利から一夜明けた9月29日、静岡・浜松市内で会見し「多くの人にインパクトを残せたし、勝ててよかった。だが、切り替えてサモア戦に向けてどうやって勝つか準備していきたい」と表情を引き締めた。

 1次リーグ2連勝で日本初の8強入りへ大きく前進したが、まだ何も成し遂げていない思いが強い。すでに第3戦の準備に入っており「(サモアは)強いフィジカルに頼ってくる。どれだけディフェンスでプレッシャーをかけられるかが大事」と力を込めた。

 会見最後には「(アイルランドとの)試合前(9月27日)に女子バレーボールの試合(W杯)を見て感動した」と自ら切り出した。日本が世界1位のセルビアに逆転勝利した試合が大きな刺激になったという。