W杯で大ブレークの予感を漂わせるラグビー日本代表WTB松島幸太朗(26=サントリー)が見据えるものとは――。27日、チームは1次リーグA組第2戦のアイルランド戦(28日)に向けて試合会場の静岡スタジアムで最終調整。20日の初戦ロシア戦(味スタ)で“ハットトリック”を達成した松島への注目も増すばかりだが、本人は至って涼しい表情だ。
W杯通算トライ数は日本人トップタイの4で、今大会中に単独1位となる可能性は高い。それでも、まだ驚くのは早いとばかりに「自分の実力を出せば世界に認められると思う。まずはチームが優先だけど、ボールが回ってくれば得意のステップ、フットワーク、スピードのところでアピールしたい」と、さらなる活躍に自信をにじませた。
W杯でトライを量産すれば、フランスやイングランドなど欧州移籍の道も見えてくる。2015年W杯イングランド大会でベストフィフティーンに選出されたFB五郎丸歩(33)は、ヤマハ発動機から16年にスーパーラグビーのレッズ(オーストラリア)を経てフランス1部トゥーロンへと移籍。日本ラグビー界は大いに盛り上がった。
とはいえ、海外では出場機会に恵まれず、翌17年にわずか1シーズンでフランスリーグから撤退して古巣のヤマハ発動機に復帰。五郎丸は「選んだのは険しい道だと思うけれど、チャレンジする価値はある」と意気込んでいたが、日本人選手にとって“未開の地”で、パイオニア的存在になれなかった。
そこで、日本屈指のトライゲッターに与えられる使命は、五郎丸が志半ばであきらめた欧州ラグビー界で日本人選手の地位を築くこと。松島は欧州挑戦の意思を持っているだけに、W杯8強入りの悲願を成し遂げ、日本人の欧州移籍を加速させる存在となれるか。