“敵”は相手のみにあらず――。ラグビーW杯1次リーグA組で世界ランキング9位の日本代表は第2戦で同2位アイルランド(28日、静岡)と対戦する。初戦でロシアを撃破した勢いに乗って連勝し、悲願の8強入りに近づきたいところだが、チーム内からは、強豪チームとの一戦に向けて実力以外の不安要素を指摘する声も上がっている。どういうことなのか。

 ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC=49)率いる日本代表は1次リーグA組最強チームと激突する。W杯優勝候補にも挙がる強敵を相手に真価が問われるが、チーム内ではある“問題”が叫ばれている。

 フランカーのリーチ・マイケル主将(30=東芝)はW杯前、最後の試合となった6日の南アフリカ戦後に、審判のジャッジを疑問視して、こう語っていた。「相手が(反則となる)ボールをはたいても(審判の笛が)鳴らなかったり、あまりにおかしかった。(判定が公平ならば試合展開も)だいぶ変わる。相手も(微妙なプレーを)狙ってこないだろうし(日本は)いいアタックができる」

 ラグビー界では、かねて南アフリカをはじめとする「ティア1」(世界強豪10チーム)勢に有利な判定が多いと言われている(日本はティア2)。ある日本代表のFW選手も南アフリカ戦を振り返って「スクラムでいえば、判定の部分で納得いかない部分も多少あった」と漏らしており、ジャッジに明らかな偏りを感じたという。

 スポーツ界では、ファン、サポーターの大声援を受けるホーム側へ、意図せずに有利な判定が下されることがあり「ホームタウンディシジョン」と呼ばれる。ラグビーの審判団も決して不公平な判定をしているのではなく、微妙な場面ではビデオ判定(テレビジョン・マッチ・オフィシャル=TMO)も導入されているが、対戦国からすると、世界トップには“忖度判定”が出る傾向があるようだ。

 日本が対戦するアイルランドも「ティア1」に属しているため、日本とすれば相手への対策だけではなく、レフェリーへの配慮も必要になる。

 その対応について、日本の主将は「(審判とのコミュニケーションは)比較的取れていたと思うけど、もっとガンガンいかないといけない。いつも見えないところで話しているけど、これからは見えるところでも。そうしないとフェアじゃない。どうしても日本を弱く見てしまっている」と語気を強めた。

 難敵との対戦は常に苦戦を強いられるが、日本はアイルランドとともに審判団をどう攻略するか。勝敗の大きなポイントになりそうだ。