ラグビーW杯1次リーグA組で、世界ランキング9位の日本は第2戦で同2位アイルランド(28日、静岡)と激突する。難敵を相手に8強入りに向けた第一関門となるが、2015年W杯イングランド大会メンバーのSH日和佐篤(32=神戸製鋼)が本紙インタビューに応じてSO田村優(30)と、田中史朗(34=ともにキヤノン)らSH勢が勝利のポイントになると指摘した。

 ――8強入りは

 日和佐 アイルランドかスコットランドに勝たないといけない。どちらもギャンブルプレーはしてこないし、セットピース(スクラムやラインアウト)で崩してショットを狙って3点とか安全圏で勝つラグビーをするので、アンストラクチャー(陣形が崩れた状態)の状況が大事。相手にボールを渡すのではなく、混乱させる中でボールを渡してまた奪い返すのがポイントになってくる。

 ――日本はアンストラクチャーを重視

 日和佐 その場合、ゲームコントローラーの10番(SO)、9番(SH)が、しっかりゲームの流れを読んでいつボールを手放すべきなのか、ボールを持ってアタックし続けるのかの判断が大事になる。9番のフミさん(田中史朗)は経験豊富だし、流大(27=サントリー)、茂野(海人=28、トヨタ自動車)はスーパーラグビーで経験を積んでいる。(SO)田村優もひらめきと冷静にプレーも。いいゲーム運びを期待できる。

 ――田村はプレーの安定感が増した

 日和佐 一番伸びたのは精神的な部分。4年前は波のある選手と感じていた。乗ると100点のプレーをする一方、50点というときもあった。それがコンスタントに高いレベルでキープできている。ただW杯になると、10番はもちろん、9番にもプレッシャーかかるので、それを少しでも軽減できるように、ほかの14人の協力も重要。起点を田村だけじゃなく、9番にしてみるとか、田村優だけではない誰が脅威になるかわからない状況をつくれると、よりいいアタックになる。

 ――田中とは2011、15年大会のチームメート

 日和佐 負けず嫌いな人でチームをどうやって勝たせようかいつも考えていたし、それを行動にも言葉にも出せる意思の強さを感じていた。

 ――流、茂野は成長著しい

 日和佐 流はリーダーシップもあるし、プレー面では裏のスペースを見れてキックをうまく使える。そこは、相手にプレッシャーをかける状況をつくるのに有効な手段で、一番の強み。茂野は、移籍で1年出られなかった(17~18年シーズン)のは大きなブランクだったけど、昨季、成長を感じた。

 ――自身は3大会連続W杯メンバー入りがかなわなかった

 日和佐 チャレンジはできていたので納得はしているけど、もちろん悔しさはある。今後も選手である以上は日本代表を目指していきたい。


 ひわさ・あつし 1987年5月22日生まれ。兵庫・神戸市出身。法政大を経て2010年にサントリーに入団。16年にはスーパーラグビーのサンウルブズでもプレーし、18年に神戸製鋼に移籍した。11年4月に代表初キャップを獲得し、同年のW杯ニュージーランド大会に出場。15年W杯イングランド大会では1次リーグ3勝に貢献。代表キャップ数は51。166センチ、72キロ。