【ラグビーW杯】元日本代表キャプテン・廣瀬俊朗氏が語るジョセフジャパンの進化と懸念材料

2019年05月16日 11時00分

廣瀬氏が日本を分析。W杯ベスト8進出の条件とは?

 悲願のベスト8進出を果たせるか。ラグビー日本代表はW杯日本大会開幕戦となる1次リーグ初戦のロシア戦(9月20日、東京)に向けて、チームの強化を進めている。初の8強入りへ期待が高まる中、元日本代表キャプテンで2015年W杯イングランド大会メンバーの廣瀬俊朗氏(37)が重要ポイントをピックアップ。優勝候補の南アフリカを撃破した前回大会からの進化と懸念材料を熱く語った。

 ――W杯開幕が迫ってきた

 廣瀬氏:海外に行ってW杯を観戦するのはハードルが高いが(国内の)12都市で試合を開催するし(多くの人に)見る機会があれば素晴らしい経験。選手にとっても(自国開催は)特別だし、お客さんも4年に1回のお祭りを楽しんでほしい。

 ――日本代表の躍進に期待がかかる

 廣瀬:ベースは確実に上がっている。(自身が代表主将に就任した)2012年のときは勝つ文化はなく、マインドセット(心構え)に費やしたが、今は勝つと思って試合に挑んでいる。(W杯イングランド大会で躍進した)15年以降は、それが大きいのかな。スーパーラグビー(SR)のサンウルブズで、世界トップと対戦する機会が増えたのも良かった。

 ――1次リーグ突破のポイントは

 廣瀬:全試合に勝ちにいくこと。(1次リーグ2戦目の強豪)アイルランドに負けてもいいではなく、3勝0敗で(1次リーグ最終戦の)スコットランド戦を迎えることがベスト。あとはホーム開催をどう力に変えていくか。そこは初戦(ロシア戦)が重要になる。勝てば、応援の雰囲気も高まり、逆に変な試合をしたら“大丈夫か”と周囲から余計なプレッシャーがかかるので。

 ――難敵はアイルランドとスコットランド

 廣瀬:(欧州6か国対抗戦で)アイルランドがイングランドと対戦した試合を見ると、プレッシャーがかかると意外な感じだった。もっとタフかと思ったらポロッと負けたので、隙がないわけではない。イングランドのキックの使い方は、日本がやろうとすることにつながるので参考になる。スコットランドも同じ感じ。なので我慢強くやることが大事になる。

 ――15年大会は南アフリカ戦後、中3日のスコットランド戦に敗戦。今大会の日程はどうか

 廣瀬:南アフリカに勝った後、何がタフだったかというと、マインドセットだった。フィジカル面は準備をしてきたが、勝った後に世界がどんなふうに変わって、僕らに与える影響までは準備し切れなかった。浮つかないように普通でいようと思う自分たちが、もう普通ではなかった。今度は1週間に1試合なので準備、修正がしやすい。

 ――今後は仕上げの時期になってくる

 廣瀬:大枠でやっているメンバーの構成をもう少し固定したメンバーで戦ったほうがいいのかな。(15年W杯に向かう)僕らのときは約40人でいつも合宿をし、一緒に過ごしチームメートといろいろな話をしてチームワークが“熟成”されたけど、そのあたりがどうなるのか、気になる。

 ――主将を務めるリーチ・マイケル(30=東芝)への期待も大きい

 廣瀬:(15年)W杯が終わって少し(代表を)レストしたが、帰ってきてからは(パフォーマンスが)素晴らしい。僕とタイプが違って苦しいときにプレーで引っ張るタイプ。ラグビーはキャプテンがすごく大事で、ゲーム中は監督が上(スタンド)にいるわけだし(チームを)リードしないといけないことも多い。

 ――ラグビー界発展のためW杯後も大事だ

 廣瀬:(20年限りでSR除外となる)サンウルブズの問題など協会が、どういう方向にあるか可能性も含めて発信するとか、もう少しオープンにする必要がある。あとはW杯の次に東京五輪が開催されるので、19年(ラグビーW杯)のボランティアの人が20年(東京五輪)の人により良くするには…という話をするなど、つなげていければと思う。

【ラグビー普及活動にまい進】今年2月にトップリーグの東芝を退団した廣瀬氏はW杯開幕を前に、ラグビーの普及活動にまい進中だ。「コーチをしているとチームに特化することができるけど、もっと広くやりたい思いがあって今はイベントに出たり、講演したり、あとはスクラム・ユニゾンという出場国の国歌を覚えてみんなで歌っておもてなしをしようというプロジェクトを立ち上げました」と説明した。

 W杯出場国の国歌を自らが熱唱するシーンを動画サイトに続々とアップしている。「カラオケみたいにカタカナ(の歌詞)が流れて国歌を練習できるような動画を撮っていて、いろいろな方に賛同してもらえたら」。多くの人が国歌を知ることで、その国への理解や興味が深まっていくことを期待している。

☆ひろせ・としあき=1981年10月17日生まれ。大阪・吹田市出身。5歳でラグビーを始め、大阪・北野高、慶大を経て2004年に東芝入り。主にウイング(WTB)やスタンドオフ(SO)として活躍した。07年に日本代表に初選出。15年W杯イングランド大会に出場した。強いリーダーシップを発揮し、慶大、東芝、日本代表でキャプテンを務めた。16年に現役を引退。17年から東芝でコーチを務め、今年2月に退団した。現在は幅広くラグビーの普及活動を展開中。173センチ、81キロ。