ラグビーW杯自国開催まであと1年 19日一般向けチケット販売開始のマル秘事情

2018年09月21日 11時00分

20日に行われたW杯日本大会1年前イベントには日本代表・ジョセフHC(後列左から2人目)、小池百合子東京都知事(後列中央)らが出席(ロイター)

 20日で開幕まで1年となったラグビーW杯日本大会で19日に入場券の一般向け販売が始まり、熱気もさらに高まりつつある。ラグビー関係者やサポーターズクラブ会員らを対象にした先行抽選販売では、大会全体の販売枚数180万枚を超える250万枚の応募が寄せられ、W杯ブランドの強さが示された。一方で、各種興行で問題になっている転売はこちらでも根絶されない。「4年に一度じゃない。一生に一度だ。」をキャッチコピーとする大会のチケット事情に迫った。

 先行販売の具体的な結果や一般販売の総数・試合別枚数は公表されていない。現状はどうなっているのか。

「ざっくり言って、組織委員会とRWCLが90万枚ずつチケットを持っている。そのうち、組織委が持っている分の7割が売れた。お伝えしているのはそこまでです」

 そう説明するのは、大会組織委員会のチケッティング担当・森貴信氏。RWCLとは運営を統括する「ラグビーワールドカップリミテッド」。先行販売では、組織委分の90万枚のうち7割=63万枚が売れた。それとは別にRWCLが独自販売を行う。組織委では来年1月19日から先着順の一般販売も予定。「なるべく早く売り切りたいが、1月を前に『売り切れ』という状況はないようにしたいなと思う」(森氏)

 試合ごとの販売状況が分からなくては、応募は手探り状態。そのため、組織委はチケットサイトで、先行販売の状況から試合ごとに人気度を伝える。多数に応募する方法もあるが、すべて当たれば「みんな見ていただくことになる」(同)ので費用の考慮が必要だ。

 ラグビーファンに話を聞くと「パック(会場・チーム別のセット)のほかに開幕戦、決勝戦と、かなり当たった」(観戦歴3年の女性)、「友人が準々決勝、準決勝、決勝に当たって、2人で50万円と聞いた」(同20年の男性)と幸運を明かす声が返ってきた。豊田スタジアムのパックに当たった同20年の女性は「一般販売も応募したい。料金はすごく高いけれど、日本での開催は一生に一度だから」と出血覚悟。

 不運にして抽選や先着販売で逃しても、旅行代理店などのツアーなどのルートも。さらに、観戦が不可能になった人のチケットを定価で公式に再販売するシステムも「来年のどこかの期間でやりますと、今年中に発表したい」(森氏)という。

 この公式リセールに立ちはだかるのが横行する転売行為。本紙記者が先週末に某サイトで検索すると、開幕戦の日本VSロシア(9月20日、東京・味の素スタジアム)では、カテゴリーA(5万円)が約10万円、同B(3万5000円)が約6万円などで出品され、特典サービスつきのプレミアム席には約36万円の値が。「完売しました」「あと1枚です」といった販売状況が並ぶ。ほかにも「たくさんのチケットが売り出し中」と宣伝するサイトでは、「価格は売り手によって設定され…」と堂々うたわれている。

 これが「二重の意味で間違っている」と断罪するのは、チケットの高額転売問題に取り組む「ライブ・エンタテインメント議員連盟」事務局長の山下貴司衆院議員だ。

「転売禁止と明記してあるチケットを売るのは、無効になるものを売るということ。いわば、紙切れを10万円で売るような世界です」

 ラグビーW杯の入場券は転売などの譲渡が禁じられている。スポーツや音楽ライブチケットの高額転売などを規制する法案が与野党でまとまりつつあり、「これはラグビーW杯にも間に合うように作っている」(同)。秋の臨時国会に提出され成立すれば、法的な取り締まりが可能になる。

 組織委でも、転売については「パトロールをしてつかんでいる。要望に応じて、取り下げてくれる会社もある。取り下げてくれないところもあるので、そこは粘り強くやっていく」(森氏)。チケットが不正に転売されたと確認された時点で、そのチケットを無効化することを考えている。

 大型スポーツ大会ではしばしば、完売なのに試合が始まったら空席が目立つという珍現象も。森氏は「我々としても懸念し、どうやったら防げるかも考えている。いま考えている中では、そういったことは起こらないと思います」と自信を示した。