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川内優輝ボストン・マラソン圧勝 世界王者になぜ勝てた?


驚異の粘りで優勝のゴールテープを切った川内(ロイター=USA TODAY Sports)

【マサチューセッツ州ボストン16日(日本時間17日)発】公務員ランナーが歴史を塗り替えた。122回目を迎えた伝統のボストン・マラソンで、男子の川内優輝(31=埼玉県庁)が2時間15分58秒をマークして初優勝。2位に2分25秒差をつける圧勝で、日本勢では1987年大会覇者の瀬古利彦以来31年ぶりの快挙となった。悪コンディションの中で想定外のレース運びを見せて優勝候補のアフリカ勢を幻惑。自慢の粘りを発揮した。優勝者には賞金15万ドル(約1600万円)が与えられる。

 この日のボストンは季節外れの寒波に見舞われ、気温は氷点下。レース前から大雨と強風が吹き荒れた。コースにも大きな水たまりができる悪条件で多くの選手にとっては厳しいレースとなったが、暑さが大の苦手で粘りが持ち味の公務員ランナーにとっては「最高のコンディションでした」。

 レースはペースメーカーが不在。先頭集団で様子をうかがう作戦を立てていた川内だったが、予想に反してスタートから一気に飛び出した。猛烈なダッシュで“大逃げ”を敢行。優勝候補のアフリカ勢の機先を制し、主導権を握った。

 10キロ地点の前で後続に追いつかれ、一時はトップ集団から離された。それでも諦めずに前を追うのが川内の真骨頂。レース終盤に2位に浮上すると、40キロでは先頭を走っていた昨年の世界選手権覇者、ジョフリー・キルイ(25=ケニア)と20秒差。そこからバタッと脚が止まったキルイに対し、川内はさらにペースを上げて逆転し、そのままゴールテープを切った。「ただ前だけを見て、ひたすら前だけを見て自分のベストの走りをしたら勝てました」と大きな目を見開いて喜んだ。

 一方で、ボストンは国際陸連が求める条件を満たしていない片道コースのため、公認記録とはならない。さらに最悪のコンディションとはいえ、川内の優勝タイムは女子マラソンの世界記録(ポーラ・ラドクリフの2時間15分25秒)を下回る。記録そのものの評価は難しいところだが、昨年の世界選手権で9位に敗れた川内が世界王者をきっちり差し切っての勝利には大きな価値がある。

 長らく低迷してきた日本の男子マラソンも、大迫傑(26=ナイキ・オレゴンプロジェクト)が初マラソンとなった昨年のボストンで3位に入ってブレーク。設楽悠太(26=ホンダ)も2月の東京マラソンで2時間6分11秒の日本新記録を樹立と上昇ムードだっただけに、2020年東京五輪へ向けて川内の粘走は、条件さえ合えば海外の強豪にも勝てるという証明にもなった。

 川内自身はかねて東京五輪について「日本代表は責任が重いのできつい」「暑さに強くて、勝負強さ、スピード、すべてを兼ね備えた選手に頑張ってほしい。自分にはその自信はない」などと話し、意欲を示してこなかったが、今回の優勝でどう変わるのか。

 いずれにせよ、日本陸上界きっての人気者の活躍で、東京五輪のメダル獲得へ最高の追い風が吹きだしたのは確かだ。

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