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ロシア平昌五輪「ボイコット回避」の裏 プーチン大統領4選への政治的計算か


プーチン氏(ロイター)

 最悪の事態は回避へ――。国際オリンピック委員会(IOC)は5日(日本時間6日)、国家主導の組織的ドーピングを理由にロシアオリンピック委員会(ROC)を資格停止とし、来年2月の平昌五輪から同選手団を除外する処分を決めた。個人資格での参加は条件付きで認めたものの、厳しい裁定。ロシア側が猛反発し「ボイコット」という強硬論もあったが、ウラジミール・プーチン大統領(65)は柔軟路線に転換した。そこにはある思惑があった。

 IOCのトーマス・バッハ会長(63)は「五輪に対する前代未聞の攻撃だ」とロシア側を激しく非難し、厳しい処分を下した。日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕選手強化本部長(60)は6日、「IOCはアンフェアなことと、断固として闘う姿勢を示した。罪のない選手が参加できるのは良かった。日本選手団としては誰が出ても出なくても、最高の準備をすることが務めだ」とコメントした。

 英スポーツ相のトレイシー・クラウチ氏は「スポーツの尊厳を守り、公正に競争できる場所を選手に与えるために、重要な一歩だ」とツイッターに投稿。米国オリンピック委員会(USOC)のスコット・ブラックマン最高経営責任者は「IOCは強く、筋の通った決断を下した。完璧な選択肢はないが、この決定によって再発の可能性は減るだろう」と声明を出した。

 一方、韓国の聯合ニュースによると、平昌大会組織委員会の李熙範会長は「興行面ではロシア選手団の参加がベスト」と率直に述べた。人気競技のアイスホッケーでロシアの参加を認めるよう要望書をIOCに送っていた国際アイスホッケー連盟のレネ・ファゼル会長は、タス通信に「今はロシア側の反応を待ちたい」との立場を示した。

 ロシアのフィギュアスケート女子には、日本でも人気の女王エフゲニア・メドベージェワ(18)を筆頭に多くのトップ選手がいるだけに、6日開幕のグランプリ(GP)ファイナルの会場(愛知・日本ガイシホール)にも衝撃が走った。メドベージェワと親交のあるファイナル初進出の樋口新葉(16=日本橋女学館高)は最強ライバルの五輪参加を願う一方で「そのことについて考え過ぎないようにしたい」とし、複雑な表情を浮かべた。日本スケート連盟のフィギュア委員長を務める伊東秀仁理事(56)も「ライバルのロシアが出ないのは残念。個人として出られるのなら、出てきてもらい正々堂々と戦いたい」と語った。

 世界中に波紋が広がるなか、ロシアは12日にも選手の個人資格による出場可否を判断する見通し。IOCが示した国旗や国歌の使用を認めない形での参加には、プーチン大統領も以前から「ロシアへの侮辱」と反発し、ボイコットの強硬論も出ている。国家としてのドーピング関与を一貫して否定するロシアにとっては、処分受け入れのハードルは高く、レベジェフ下院副議長は「五輪を完全にボイコットすべきだ」と訴える。

 ところが、ロシア通信によると、プーチン大統領は6日(日本時間7日)、ロシア選手が個人資格で平昌五輪に参加することについて「政権が邪魔することはない」と容認する方針を示した。さらに平昌五輪からロシア選手団を除外する決定にも「ロシアにも一部悪いところがあった」と述べ、完全否定していた国家主導の組織的ドーピングについて一部を認める発言をしたのだ。

 これによりボイコットという“最悪のシナリオ”は回避されることになるが、なぜプーチン大統領は強硬姿勢を変えたのか。来年3月の大統領選に向けてプーチン大統領はこの日、正式に出馬を表明。通算4選が確実視されるなかで、IOCの決定には批判を展開する一方、選手の五輪参加を認めることで国民から強力な支持を取りつける狙いがあったとみられる。

 選手たちの命運も、結局は政治の思惑に左右されることになりそうだ。

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