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【世界柔道】男子60キロ級で復活金!高藤“やんちゃ男”が夢のため一変


【ハンガリー・ブダペスト28日(日本時間29日)発】柔道の世界選手権が開幕。初日の男子60キロ級はリオデジャネイロ五輪銅メダルの高藤直寿(24=パーク24)が4年(3大会)ぶり2度目の金メダルを獲得した。かつての“やんちゃ男”が別人のように復活を果たした裏には、「新たな夢」があった。

 派手なガッツポーズはない。無邪気に喜ぶこともなかった。決勝でサファロフ(アゼルバイジャン)に大内刈りで一本勝ちした高藤は「今日は組み合わせからして運がよかった。まだ永山(竜樹)選手に勝ってないんで、勝ってから喜びたいと思います。また東京五輪まで頑張ります」と謙虚に語った。

 3年前には寝坊による遅刻を繰り返して強化指定選手から降格。全日本男子の井上康生監督(39)が責任を取って丸刈りになるほど波紋を広げた。そんな“やんちゃ男”の以前とは別人のような言動が、現在の心境を表している。リオ五輪では銅メダル。悔しさに駆られた高藤は、他の格闘家との交流を通じ、足りないものを気付かされた。まずはボクシングのWBO世界スーパーフライ級王者で“怪物”井上尚弥(24=大橋)と知り合い、刺激を受けた。さらに知人を通じ、K―1などで活躍するキックボクサーの卜部功也(27)とも出会った。

「最初は全然知らなかった。でも、ユーチューブで見たら『つええな』って」。同じ格闘技でも、人気ぶりは桁違い。まぶしいほどに輝く姿を見て、高藤は言った。

「いつかボクももっとスターになりたい」

 新たな夢の実現へ、苦境にも耐えた。大学の後輩、永山には昨年12月から2連敗。高藤はパワーファイターの永山に対抗するため、これまで取り組まなかったウエートトレーニングにも汗を流し、がむしゃらに練習に打ち込んだ。

 さらに、柔道に対する意識も変えた。「五輪の前は負けないように柔道していた。五輪が終わって負けない柔道をしていたらダメだなと思った」。自信の塊だった男が冷静に、己を見つめられるようになった。

 リオ五輪で男子は全階級でメダル獲得の快挙。それが高藤にとっては不安材料でもあった。所属の吉田秀彦総監督(47)は「銅メダルに納得しちゃっている」と厳しい見方も示していた。仲間に銅メダル選手が多かった分、悔しさも薄れているように見えた。

 しかし、高藤は敗戦を糧に、這い上がった。4年前は勢いでつかみ取った金メダルだったが、今回は違う。「もっと夢に向かって、コツコツやらないといけない」。世界選手権金メダルは、まだ高藤の描く「スター道」の始まりにすぎない。私生活では2児の父。3年後、家族に最高の雄姿を見せるためにも、高藤はこれからも「強いパパ」を追い求めていく。

 ☆たかとう・なおひさ 1993年5月30日生まれ。栃木県出身。神奈川・東海大相模高―東海大出。2016年リオ五輪3位。世界選手権は13年に優勝、14年は3位。17年はグランドスラム・パリ大会制覇。世界ランキング2位。得意は小内刈り。160センチ。

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