全日本柔道連盟の山下泰裕会長(60)が12日、1984年ロサンゼルス五輪無差別級決勝で金メダルを争ったモハメド・ラシュワン氏(62)と都内で会談した。

 エジプト柔道連盟のゼネラルアドバイザーを務めるラシュワン氏は東京五輪に向け、選手育成の協力を打診。山下会長も「人間として心から尊敬できる」と応じ、6月に日本で行われる国際合宿にエジプト選手が参加することを合意した。

 かつて外国勢は旧ソ連を除き、五輪や世界選手権の前に日本で合宿し最終調整を行ってきた。ラシュワン氏も1か月にわたり滞在し、講道館で鍛錬したこともある。当時を知る関係者は「ピーマンが好きで近くの八百屋で買って生でかじっていた。カネがないから食堂では『3食1000円で』とお願いしていた。さすがに断られましたけどね」と語った。

 2年後の五輪本番を見据えて、日本との連携強化を求める国は増えている。“日本詣で”の復活は日本にとっても脅威にもなりかねないが、山下会長は快く歓迎する方針だ。