アテネ・北京五輪の柔道男子66キロ級金メダリストで準強姦罪で懲役5年の実刑判決を受けた内柴正人(39)が26日、神奈川県内で行われたブラジリアン柔術大会「JAPAN OPEN」(ASJJF主催)に出場した。

 2011年に九州看護福祉大学女子柔道部で部員に乱暴したとして、14年に懲役5年の実刑判決を受けた内柴は、今年9月15日に仮出所(刑期は12月14日まで)。現在はALAVANCA柔術アカデミーの山田重孝代表のもとでトレーニングを積んでおり、今大会が“柔術デビュー戦”となった。

 青帯ミドル級(82キロ以下)トーナメントに出場した内柴は、6年以上のブランクを全く感じさせないキレのある動きを披露。初戦で鮮やかな足払いから腕固めで一本勝ち、2戦目も腕十字固めで一本勝ちを収め、あっという間に同級の優勝を決めた。

 さらに青帯無差別級のトーナメントでも圧倒的な強さを見せつけた。腕十字固めで初戦を制し、2戦目も開始わずか14秒で巴投げから腕十字固めを決める瞬殺劇。最後も危なげない試合運びから腕十字固めを決め優勝を飾った。

 5試合オール一本勝ちで2つの金メダルを手にした内柴は「僕にはこれしかできないので、できることをやらせていただいて感謝しています。(出場に)よく思わない人、批判のある中で、人前で戦うことを選びました。自分は一生懸命働いておカネを稼ぐことよりも、自分の生きがいを大事にしたい」と今回の出場の経緯を説明した。

 関係者によれば、今後は12月24日に都内の柔術大会に出場し、来年2月には「ヒクソン・グレイシー杯」に出場する予定だ。

 現在は地元の熊本県内で暮らし、一般企業にも勤めているという。一部ではプロ格闘家転向の報道もあったが「考えてません。(その話も)断ってます」と否定し、あくまで柔道家としての幅を広げるために柔術を選んだ格好だ。

 社会復帰を目指す金メダリストは日本柔道連盟から永久追放処分を受けているが「もし柔道に帰ったときに、もっとしっかり努力できる人間になれたら」と、将来的な復帰の希望も口にした。