第14回全国小学生学年別柔道大会(後援・一般財団法人東京スポーツ新聞格技振興財団)が8月20日に北海道立総合体育センター(北海きたえーる)で盛大に開催された。全国から集まった多彩な柔道少年・少女が8クラスに分かれて熱戦を展開。3年後の2020年東京五輪へ向けてニッポン柔道への期待が高まるなか、“東京後”の世代も負けじと未来のメダル取りをアピールだ。

 小学6年生男子50キロ級を制したのは川端倖明君(かわばた・こうめい=千葉・中山柔道会)だ。キレのある柔道で勝ち上がり、5年生45キロ級で2位に終わった昨年大会の悔しさを晴らした。

「今どうこうではなく、将来性が楽しみ」(小川直也)という逸材ぶりを証明した川端君は、熊本生まれの千葉・船橋市育ち。ロンドン&リオ五輪男子66キロ級銅メダルの海老沼匡(27=パーク24)の活躍をテレビで見て、柔道を始めたという。

 興味深いのは練習環境だ。父で中山柔道会監督の川端慎一氏(37)によれば、練習は週3日で各日1時間30分ほど。なんとわずか週4時間半の練習で、全国の頂点に立ったというのだ。

「みなさん驚かれますが、子供だけではなく大人と一緒に小さな公民館を借りてやっているところですから。強くなるためには練習時間より、自分で考えて練習することが大切だと思ってやっています」(川端監督)

 同会から軽量級のホープとして注目される市川龍之介(習志野高)を出したことも、そうした方針を貫く自信になったという。

 今後の進路は未定だが、川端監督は父として「将来は日本代表になるくらいまで強くなってほしい」と期待を寄せる。本人も「阿部一二三(20=日体大)選手みたいになりたい」。少年らしく「いつか(リオ五輪73キロ級金メダリストの)大野(将平=25、旭化成)選手とやって投げてみたい」とも語る。

 目標とする阿部は開催中の世界選手権(ハンガリー・ブダペスト)に66キロ級代表として初出場。見事に金メダルを獲得し“怪物”ぶりを存分に発揮した。

“小学生の怪物”川端君の「夢」も3年後の東京五輪を超えて、その先の未来で実現するかもしれない。